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この地球にはいま、栄養不足人口が8億人もいるとされています。一方、先進国を中心に人々は豊かな食生活を楽しみ、食べ残しなど大量の食品ロスが発生し、また食品廃棄物の処理が問題となっています。このように食料の過剰と不足が同時にみられるのが現代の食料問題の大きな特徴です。さらに、食料自給率が39%(2006年)にまで下がった日本は、世界中から食料を買い集めていますが、将来にわたって大量の食料を輸入し続けることは果たして可能なのでしょうか。このような現代の食料問題について、生産・加工・流通・消費を通じた食料システム全体のあり方と関連づけて考え、21世紀の食料システムを構想していこうというのが研究室の目標です。 また、食料供給産業としてとても大切な日本の農業は、農業者の高齢化や農地の荒廃が進んで危機的な状況です。日本の農業を強化するにはどうすればよいか、農業が日本から消滅しないで国民から支持されて維持されるにはどうしたらよいか、難しい問題ですが頭を悩ませながら、研究を進めています。21世紀には食の問題がますます重要になるでしょう。食をめぐる諸問題をしっかり理解し、卒業後は社会に貢献できる自立した人材の育成を目指しています。そのため、しっかり勉強することと同時に、自分の考えを主張できるように、ゼミ員が順番に座長を務め、コメンテータを決めたうえで、全員が発言するようにしてもらっています。就職活動で最も求められるのはコミュニケーション能力です。それは自分の考えを明確かつ簡潔に表現すること、また相手の言うことを正しく理解することにつきるのですが、ゼミでその能力を少しでも高めてもらいたいと思っています。でも、堅苦しいのでは頭にはいることも入りません。ゼミは明るく楽しくをモットーに、時には笑い声とともにゼミを進めています。 |
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【学生の活動状況】 ・1年生 前期の半年間に必修の基礎演習(基礎ゼミ)があります。今年は12人(男子7、女子5)のメンバーで、例年と同じくやる気十分の学生が集まってくれました。いずれも個性豊かな学生で、最初はこちらも緊張してゼミにはいるのですが、学生の方はなおさらで、大学でのゼミがどういうものか勝手がわからずにとまどっている様子でした。今年はコピーのやり方から始まって、学科の統計資料室の説明などを丁寧にやったのは正解のようでした。これまでは自然に覚えると思って簡単にざっと説明しただけでしたが、意外と4年生になってもコピーのやり方や、とても充実している学科の統計資料室を十分に利用していない学生も多いようなので、今年は少し念入りに説明したのが良かったようです。後期の今、順調に学生生活を軌道に乗せていることを願っています。 |
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・2年生 必修のフィールドリサーチでは5年連続で、北海道夕張市を訪問、調査しました。夕張はもともと夕張メロンで有名で、地域特産品のブランド調査では全国トップにあげられるほどですが、2007年4月に市が財政再建団体になったことでも全国に知られるようになりました。調査では、夕張メロンの産地化とブランド確立の歴史、その過程における農家・農協の方々の努力について学びました。また財政再建団体となって希望退職が募集された結果、職員が半減した市役所でも市の現状と今後のことについてお話をうかがいました。いずれも以前からのお付き合いがあることもあって、大変な時期ではありましたが丁寧に説明していただきました。学生達も夕張メロンのすごさや、財政再建団体ということがいかに大変なことかを知り、また地元の方々の苦労とそれでも前向きに努力している姿から何かを感じ取ってくれたのではないかと思います。また、昨年に続いて株式会社アクリフーズ夕張工場にもうかがい、最近の冷凍食品業界の動向などについて説明をいただき、なかなか見る機会のない工場内部を見学させていただきました。見学に際しては着替えや入るに際しての異物除去、微生物・防塵対策などがいかに厳重であるかも身をもって体験できました。なかでも、夕張市の財政危機に対して全国から支援の気運が盛り上がるなかで、夕張で生産している冷凍食品ということで引き合いが多くなっているというお話もうかがい、世の中の善意を感じ取ることもできました。今年は12人の学生(男子4、女子8)に、国際環境経済学研究室の竹下先生が同行していただき、また5人の4年生がリーダーとして加わって総勢19人での夕張調査でした。今年もまたとても優秀な学生が集まってくれましたが、夕張で多くを学んでくれたのでしょう、提出されたレポートはいずれも力のこもった良いできのものばかりでした。 |
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・3年生 盛田は2008年、英国のケンブリッジ大学に日本大学中期海外派遣研究員として7ヶ月派遣されますので、3年生のゼミをもっていません。 |
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・4年生 就職状況が改善されたことも少しは関係しているのでしょうが、10人のメンバー(男子5、女子5)は全員が8月までに内定を取得しました。また、8月内定の学生は公務員(警察官)だったためで、民間企業志望の学生は全員が5月中旬までに内定を得るという、私が1999年に日本大学に赴任して以来の快挙でした。もちろんこれは就職市場が売り手市場だったからだけではありません。この4年生も本当に優秀な学生ばかりで、もともとゼミでの報告や卒論準備状況をみてもどこに出しても恥ずかしくない学生ばかりです。ですから就職活動が順調なのも当然と思っています。なかには内定を7社や5社とった学生もいたほどでした。先にもふれましたが、盛田の海外派遣のため、2008年、2009年は4年生のゼミがなくなりますが、最後に力のある、また豊かな人間性をもった個性的な学生に恵まれたことに本当に感謝、感謝です。 |
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・大学院生の研究状況 研究室には修士1年生1人、2年生1人、博士2年生1人、研究生が1人(女性)と総計4人が在籍中です。今年も研究室ゼミは日程調整が難しいなか隔週開催を原則に実施しています。博士課程の学生は中国からの留学生で、規定の3年間で是非とも博士号を取得するという意気込みで頑張っています。また修士2年の学生は修士論文を完成しなければなりませんが、既に就職も内定を得ており、論文締め切りが近づいているいま、追い込みに入っています。 研究生は2007年3月にみごと博士の学位を取得、私とほぼ同世代の方なのですが、その努力と能力には脱帽です。学位論文のテーマは、縁故米の社会経済的解明で、とても意義のあるテーマなのでできれば出版をと考えて努力してもらっているところです。 |
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【卒業生の主な就職先】 広島電鉄、西野商事、ピジョン、エバラ食品、サミット、成城石井、かねまつ、伊藤園、ノジマ、JAさがみ、ワールド、小田急建設、三菱電機住環境システム、横浜冷凍、山口銀行、コージーコーナー、デイリーヤマザキ、東急ストア、ユニー、日本食研、ホシザキ東京、フジッコ、河合薬業、白洋舎、モロゾフ、りそな銀行、アツギ、日世、警視庁、海外青年協力隊、日本大学職員、日本大学大学院、千葉大学大学院、上越教育大学大学院、鹿児島大学大学院、琉球大学大学院、東京農工大学大学院など (2004年3月以降で内定、進学先を含む、順不同) |
氏名: | 盛田 清秀(もりた きよひで) |
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ポスト: | 教授 |
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学位: | 博士(農学) |
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担当科目: | 生物資源政策、日本農業論、国際農業論 |
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所属学会: | 日本フードシステム学会、日本農業経営学会、日本農業経済学会、 農業問題研究学会、地域農林経済学会、日本農村生活学会、 日本村落研究学会、国際農業経済学会 |
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社会活動: | 内閣府規制改革会議専門委員、総務省統計審議会専門委員、 日本農村情報システム協会集落営農緊急育成サポートツール開発事業検討委員長 |
[01] | 「食関連産業による農業参入の実態と展望」『農業と経済』74巻1号、昭和堂、2008年 |
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[02] | 「フードシステムと人材育成」『フードシステム研究』14巻1号、2007年 |
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[03] | 「日本における農政転換と構造改革の課題」第3回日中韓農業シンポジウム報告、中国・瀋陽、2006年 |
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[04] | 「食料産業の農業参入と農地制度の課題」『農業経営の持続的成長と地域農業』養賢堂、2006年 |
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[05] | 「消費ニーズの変化と農政転換」『農業経済研究』76巻2号、2004年 |
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[06] | 「農場制農業に向けた全村地域営農システムの展開」『地域営農の展開とマネジメント』農林統計協会、2004年 |
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[07] | 「馬鈴しょのフードシステムと国産品利用拡大の課題」『自給率向上のための国産食材利用増進に向けたフードシステム活性化方策』、2004年 |
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[08] | 「電子商取引の展開とフードシステム−主として企業間電子商取引(B to B)について−」『農と食とフードシステム』農林統計協会、2002年 |
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[09] | 「北海道における土地改良区の現状と課題」『長期金融』87号、2002年 |
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[10] | 「電子商取引の展開と課題」『食品経済研究』29号、2001年 |
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[11] | 「国内産小麦の民間流通と製粉企業のニーズ」日本大学食品経済学科経営学第1研究室、2001年 |
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[12] | 『農地システムの構造と展開』養賢堂、1998年 |
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[13] | 「ハンガリーにおける農場組織と土地所有構造の再編」農林水産省北海道農業試験場、1998年 |