犬の認知機能不全の治療薬の臨床試験

<概要>

犬の高齢期に発症する認知症様の行動変化、認知機能不全症候群の治療薬開発を目指し研究しています。認知機能不全症候群は加齢により脳機能が低下し、歩き回る、物の隙間に入り込む、昼夜逆転など、さまざまな行動障害を生じる疾患です。脳組織の萎縮と神経伝達物質量の低下が要因として示唆されています。

<対象>

・13歳以上の認知機能不全症候群の犬

 以下の症状がある場合は対象の可能性がありますのでご相談ください。

  • 意味もなく歩き回る
  • 頻繁に部屋の角や物の隙間で動けなくなる
  • 家の中や慣れた散歩道で迷う
  • 排泄の失敗をする
  • 昼夜逆転している

・慢性疾患を有する場合は、適切な治療を受け症状が安定している症例

<治療薬について>

人の認知症の治療薬として認可・使用されている薬剤を使用します。脳内のアセチルコリンを増やし、認知機能を改善させる作用があります。加齢による脳組織の変化を止める作用はありませんが、症状の進行を緩やかにして患者犬の生活の質を保つ効果が期待されます。

<試験内容>

・初診時と終了時は来院していただき問診、血液検査、運動機能測定、必要に応じて高度機器による画像検査などを実施し治験対象かどうかの確認を行います。

・毎回受診の際に、症状の進行度に関する質問票に記入をしていただきます。

・初診後から治験終了までの期間、ご自宅で犬の行動の記録(例:睡眠、排泄、食事、食事量等の記録用紙への記入)をしていただきます。また活動量を測定する小型のウェアラブルデバイスを犬の首輪に装着してもらいます。

・1-1.5ヶ月間、毎日投薬をしてもらいます。治験にかかる期間は全体では2-2.5ヶ月間です。

・投与中は1-2週間に一度、来院またはオンラインで診療を受けていただきます。体調不良が見られる場合や血液検査で薬物濃度測定を行う必要がある場合などは必ず来院していただきます。

・治験に関わる診療費、検査費、薬剤費は全額無料です。

・治験終了後、当院にて同じ薬剤による治療を継続することが可能です。治験終了後にかかる診療費、薬剤費等は自己負担をお願いします。

<注意事項>

・本研究のデータは飼い主様の個人情報を除き共同研究先と共有させていただきます。

・治験に用いる薬剤は確実な治療効果を約束するものではありません。

・重篤な副作用がでた際は、治療前よりも状態が悪化する可能性もあります。

・いかなる理由でも飼い主様からの要望があれば即時薬剤の投与と試験実施を中止することができます。

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