放射線増感剤の特徴放射線治療はがんの治療三本柱の1つであり、とても有効な手段です。しかし、がんの組織内は酸素が少ない「低酸素状態」になっていることが多く、この状態では放射線治療が十分に効果を発揮することができません。つまり、低酸素状態は、放射線ががんに対してしっかりと作用することを邪魔してしまうのです。そこで登場するのが「放射線増感剤」という特別な薬です。当院では2023年に新しく承認された放射線増感剤であるSQAP(レブリチン)という薬を使用しています。SQAPは、投与30分から60分後にがん組織内の血流を増加させ、一次的に酸素濃度を高める効果があります。この状態で放射線治療を行うとがんに対する放射線の効果が高くなります。 図の説明:紫で塗られているがん細胞は、十分な酸素が行き渡っていないものを示しています(低酸素状態)。がん細胞は、正常な細胞とは違い、低酸素状態でも生存することが可能です。放射線治療により、ピンクで塗られたがん細胞は死にますが、低酸素状態にあるがん細胞に放射線を当てても、生き残ってしまいます。それに対して、放射線増感剤(SQAP)を投与しますと、がん組織内の血流量が一時的に増加することで低酸素状態が改善され、放射線治療が良く効くようになると考えられます。 ※詳しくは当院の放射線科にお問い合わせ下さい。※さらに詳しい情報は、(株)エム・ティー・スリー のウェブサイトをご覧下さい。