犬肺がんの新規治療に関する臨床研究

外科手術不適応あるいは手術を希望しない犬の肺がん症例に対する臨床試験を行っています。

概要

犬の肺がんの治療は外科手術が最も効果的です。しかしながら、他の臓器に転移が認められた症例(進行性肺がん)では手術をすることができません。犬の肺がん治療は手術以外の治療選択肢は極めて限られており、確立された治療法はありません。

私たちは、犬肺がんの細胞(約30%)に特定の遺伝子異常が認められることを同定しました。この遺伝子変異は犬肺がん治療の画期的な治療標的分子となる可能性があり、私たちは新しい治療法の確立を目指して研究しています。

本試験は日本大学動物病院倫理委員会の承認を得て実施しています

犬肺癌症例のレントゲン画像

適応症例

  1. 手術不適応/手術を希望しない肺がん疑いの犬
  2. 遺伝子変異検査で変異陽性の症例
  3. 摂食や排泄などの日常生活の維持が可能な症例

*上記の1から3を満たした体重4 kg以上の犬が適応となります。

遺伝子検査や病理組織・細胞診の診断は日本大学動物病院で行います。病理組織・細胞診標本等ございましたらご持参ください(返却不可)。

*病変のない手術後の症例は試験に参加できません。

*全身状態が著しく悪い症例は試験参加をお断りする可能性があります。

治療薬

人の肺がん治療で認可・使用されている経口投与の薬剤(分子標的薬)を用います。この薬剤はがん細胞に遺伝子異常があったときに抗腫瘍効果を発揮することが示されています。今回の臨床試験は遺伝子異常のある犬の肺がんに対して、この薬剤の抗腫瘍効果や副作用を明らかにするために実施します。

通院頻度

週1回の抗腫瘍効果と副作用の評価のために来院が必要になります(治療期間は3週間)。

注意事項

  • 本研究のデータは今後の獣医療の発展のために使用させて頂きます。
  • この薬剤は確実な治療効果を約束するものではありません。
  • 重篤な副作用がでた際は、治療前よりも状態が悪化する可能性があります。
  • 試験後に残念ながらお亡くなりになってしまったわんちゃんの死後検査をお願いすることがあります(任意)。今後の獣医学の発展のためにとても重要なことですので、こうしたお願いをすることにどうぞご理解下さい。
  • いかなる理由でも飼い主様からの要望があれば即時薬剤の投与と試験実施を中止することができます。

※詳しくは当院の腫瘍内科(担当獣医師 谷)にお問い合わせ下さい。

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