当研究室でスジイルカの腎臓・肺・腸から作出した培養細胞に関する研究成果が米国組織培養学会(Society for In Vitro Biology)の学会誌 In Vitro Cellular & Developmental Biology – Animal に掲載されました.

これまで当研究室で樹立してきたバンドウイルカの腎臓や肺由来の細胞株で得た経験を活かし,今回はスジイルカの培養細胞の作出に挑戦しました.肺の培養細胞は,これまでバンドウイルカ由来の細胞しか報告されておらず,スジイルカでは世界で初めての成果です.さらに,鯨類で腸の細胞培養に成功したとの報告はなく,本研究では鯨類で初となる腸の培養細胞の作出に成功しました.これらの培養細胞は,鯨類の貴重な細胞資源として今後の鯨類研究に大きな貢献をもたらすことが期待されます.今後も様々な鯨種や臓器を由来とする培養細胞の作出に取り組むことで,鯨種や各臓器に特異的な生理機能等の解明に向けた研究土壌の構築を目指していきたいと思います.

論文情報:
Tashiro K, Segawa T, Suzuki M, Kanaji Y, Maeda H, Itou T. Cultivation of primary cells derived from three organs of a striped dolphin (Stenella coeruleoalba) using a simple culture method. In Vitro Cell Dev Biol Anim.
(簡便な培養法を用いたスジイルカの3つの臓器を由来とする初代培養細胞の培養)

論文リンク:
https://doi.org/10.1007/s11626-024-00939-7 
https://rdcu.be/dLNNM (SharedIt、全文無料で閲覧頂けます)