6年次・土山一更さんが第168回日本獣医学会学術集会にて口頭発表しました.
本研究では,脊椎動物の多形核白血球(PMN)に発現し,病原微生物由来リガンドを感知することで種々のエフェクター機能を駆動するホルミルペプチド受容体(FPR)について比較ゲノム,比較免疫学的手法を用いた進化解析を行いました.元来より,PMNの活性酸素種(ROS)産生や遊走能を誘起するリガンドの感受性は動物種毎に多種多様であることが認知されてきましたが,その目的や分子メカニズムについては謎のままでした.土山さんは,57種の脊椎動物を対象にFPRアイソフォームの保有状況の推定,FPR遺伝子の分子系統樹解析,リガンド結合部位のアミノ酸配列比較,各FPRアイソフォームに特異的なリガンドを用いたROS産生刺激試験を実施し,有胎盤類のFPRと魚類,有袋類のFPRは異なる機能を持ったアイソフォーム群であることを示しました.これらの知見は,FPR進化の背景を探る上で重要な手掛かりとなることが期待されます.                                                発表の際は,初めての口頭発表ながら,研究成果を分かりやすく説明し,専門家のコメントにも真摯に対応しており,これまで主体的に研究を遂行してきた努力が垣間見えました.また,他演者の講演にも積極的に参加し,自身の研究の糧とする姿勢が印象的でした.

第168回日本獣医学会学術集会 シーガイアコンベンションセンター

発表演題
脊椎動物におけるホルミルペプチド受容体(FPR)の進化解析
発表者:〇土山 一更1,石坂 聡一朗1,瀬川 太雄1,伊藤 琢也1
1) 日本大学生物資源科学部 獣医衛生学研究室

海棲哺乳類の多形核白血球(PMN)が有する低温駆動性貪食能
発表者:〇石坂 聡一朗1,瀬川 太雄1,白形 知佳2,伊藤 琢也1
1) 日本大学生物資源科学部 獣医衛生学研究室,2) 新江ノ島水族館

日本獣医学会HP https://www.jsvetsci.jp/index.php