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食品開発学科 教授 川井 泰

乳と乳成分、ヨーグルト・チーズ、またガセリ菌などの乳酸菌とその生産される抗菌物質を含む代謝産物の特性に関する基礎的な研究から、遺伝子組換え、機能性食品への応用、食品保存剤の開発までを行っています。

食品開発学科 教授 川井 泰   プロフィールへ

乳酸菌が生産するバクテリオシン(抗菌ペプチド)に関する研究

基礎から応用までを対象として、1991年から取り組んでいる研究になります。
乳酸菌とくにガセリ菌(Lactobacillus gasseriLb. paragasseri)が生産する抗菌ペプチド(バクテリオシン)の構造、作用機序、生合成機構、各遺伝子の改変と発現を含む遺伝子解析、自己耐性機構などの基礎的研究から、カスタードクリームなどの食品保存剤への応用や食肉表面・キッチン周りなどの安全かつ有効な除菌スプレーの開発まで幅広い研究を行っています。

これら研究成果を元に、N・C末端でリンクした環状バクテリオシン(ガセリシンA)の生合成機構と環化意義の解明、二成分性バクテリオシン(ガセリシンTおよびS)の抗菌性発現機構の解明、バクテリオシン生産性乳酸菌を用いたプロバイオティック発酵乳の開発研究に加え、食品添加物として認可されているバクテリオシンのナイシンとエタノールを併用した食品保存技術とその作用機構解析を行っています。

2025年10月に世界保健機関(WHO)は、薬剤耐性菌(AMRAntimicrobial Resistance)の急増に警鐘を鳴らし、既存薬の効果が損なわれ、軽傷や一般的な感染症であっても致命的となる可能性があるとしています。現在、AMRは毎年100万人以上の直接死因(間接的には約500万人)となっていますが、2050年には全世界で薬剤耐性菌関連の死亡者数は毎年1,000万人に上り、がんによる死亡者数を上回るとされています。食中毒菌をはじめ薬剤耐性菌の増加は人類の脅威となっており、深刻な耐性菌の報告例が少ない乳酸菌バクテリオシンの有効利用と効果向上が期待されています。

略歴

1987年3月        平塚江南高等学校卒業
1992年3月        東北大学農学部畜産学科卒業
1994年3月        東北大学大学院農学研究科博士課程前期修了
1994年4月        東北大学大学院農学研究科博士課程後期退学
1994年5月 ― 2003年3月 東北大学農学部畜産学科畜産利用学講座・助手
2000年7月        博士(農学)、東北大学
2003年4月 ― 2007年3月 東北大学大学院農学研究科動物資源化学分野・助手
2003年6月 ― 2004年3月 フローニンゲン大学バイオロジカルセンター分子遺伝学研究室
              (オランダ)・博士研究員(文部科学省在外研究員)
              https://www.molgenrug.nl
2004年4月 ― 2004年9月 宮城学院女子大学・非常勤講師(兼任)
2007年4月 ― 2013年3月 東北大学大学院農学研究科動物資源化学分野・助教
2013年4月 ― 2019年3月 日本大学生物資源科学部ミルク科学研究室・准教授
2019年4月 ― 現在     日本大学生物資源科学部ミルク科学研究室・教授

主な研究内容

当研究室ではこれまでに、ミルクデザートの創製(第12回湘南発!産学交流テクニカルフォーラム「来場者賞」受賞)、乳酸菌用の完全食品グレード培地の開発(特許取得、 https://patents.google.com/patent/JP2015167474A/ja)、乳の加熱履歴判定法の開発(全国の農林水産省動物検疫所にて実用化:動物検疫所との共同研究論文「乳・乳製品の加熱履歴の簡易迅速確認法の確立」食品衛生学雑誌第62巻論文賞受賞)等を行ってきました。

現在は、上述の抗菌ペプチド(バクテリオシン)の機能解析に加えて、乳酸菌が生産する有用物質であるGABAの生産機構解析、乳酸菌用の新しい食品グレード培地の開発、イルカ乳・オキゴンドウ乳の成分分析、そしてヒト腸管における乳酸菌の挙動解明を行っています。また、乳業会社(明治、タカナシ乳業、トモヱ乳業)、三菱商事ライフサイエンス、動物検疫所、各水族館との共同研究を実施しています。

趣味・その他

趣味:読書(主に日本史)、バーボン(特にOld Forester)・芋焼酎(今は無き日大製のファン)・日本酒(特に綿屋など)・赤ワイン(主にCabernet Sauvignon)、ヒンデローペン工芸(オランダ)とマイセン磁器(ドイツ)鑑賞、音楽鑑賞(特にPops、シンセmusic) etc

特技:日本史の年号暗記

座右の銘:自主自律

ミルク・乳製品・乳酸菌を学びたい、乳業会社(卒業生多数)やミルク・乳製品・乳酸菌を取り扱う食品会社をはじめ関連食品業界に就職したい学生さん、大学院生を募集しています。

動物資源科学科から食品開発学科・ミルク科学研究室となりました

当研究室は2011年(平成23年)より日本では唯一の名称である「ミルク科学研究室」に改称し、2023年(令和5年)4月より動物資源科学科から食品開発学科所属となりました。これまでに卒業生・修了生は300名を超え、乳業会社をはじめとする食品企業、各業種で活躍をしています。

研究室配属となる3年生後期から演習等を通じてミルク・乳製品と乳酸菌についてさらに深く学びます。また、卒業研究・大学院では、各乳成分の分析、乳酸菌を含む微生物の培養、菌数測定、顕微鏡観察、抗菌活性の測定、タンパク質・ペプチドの単離精製、HPLC分析、遺伝子解析、遺伝子組換え等の幅広い知識と技術を取得し、卒業後はミルク・乳製品と乳酸菌、各機能性成分の解析を活かした就業が可能になります。

ミルクの不思議と乳酸菌に秘められた力

私たちが毎日食べている米や麦は本来それぞれの子孫となる種子であり、肉や魚は身体の構成成分です。中でもミルクは食糧として作り出された唯一の天然物であり、他の食材にない栄養的特徴と数々の生理機能を持っています。この現代社会でミルクや発酵乳(ヨーグルト、チーズ)を含む乳製品を除いた食事は考えられない状況になっています。
また、地球誕生から現在までの46億年を1年にすると、原始の微生物は3月頃に出現し、人類は除夜の鐘が鳴る直前の誕生であり、乳酸菌は我々の大先輩にあたります。ヒトや動物の消化管に在住し、種々の食品と古来から密接に関わる乳酸菌には、有用な多数の機能性と未知のパワーが秘められています。
当研究室では、ミルクと乳酸菌の特性を生かして、ヒトの健康維持に有用で風味良好な発酵乳製品の創製から、乳酸菌の作る抗菌ペプチド(バクテリオシン)を用いた天然食品保存剤の開発や、乳・乳製品・乳酸菌の機能性とその成分解析を通じて、乳業を含む食品業界で活躍する人材の育成を目指しています。

ミルク科学研究室の歴史 
https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBSmilkscience/ms_history.html

ミルク科学研究室の受賞歴・業績
https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBSmilkscience/ms_gyouseki.html
2024年9月 博士課程後期1年の高 升さんが「日本酪農科学会奨励賞」を受賞しました。
https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBS-kawaiy/?p=262

ミルク科学研究室卒業生・修了生の近況
https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBS-kawaiy/?p=720
https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBS-kawaiy/?p=669

旧・ミルク科学研究室ホームページ

上席研究員・西村順子先生ホームページ

日本大学生物資源科学部
動物資源科学科
ミルク科学研究室(6号館4階)
〒252-0880
神奈川県藤沢市亀井野1866
TEL 0466-84-3658
FAX 0466-84-3662

満喜葉会(日本大学生物資源科学部動物資源科学科(旧農獣医学部畜産学科)のOB会です。)

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