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食品ビジネス特別講義は、わが国の食品産業を牽引する企業の方々を講師としてお招きし、食品ビジネスの最前線について学ぶことができる本学科の目玉の講義の1つです。
平成21年度は株式会社サイゼリヤの経営者および部門責任者の方々に「ミラノ風ドリア299円への取り組み−日々の価値ある食事の提案と挑戦」をテーマとして、経営理念や哲学から経営戦略、実践手法などについて講義をいただきました。
株式会社サイゼリヤは1973年(昭和48年)創業で、イタリア料理店「サイゼリヤ」をチェーン展開するわが国を代表とするフードサービス業の企業であり、国内762店舗(2007年(平成18年)3月末)をすべて直営で運営し、国内はもとより、「世界中の人々にも豊かな食を広めたい」という思いから2003年(平成14年)より中国にも出店を開始するなどよりグローバルなフードサービスの展開を図っています。
講義は9月13日から15日までの3日間の集中講義として開講されました。1日目と2日目は正垣泰彦代表取締役会長をはじめとする6名によるリレー式の講義であった。3日目は神奈川県大和市に位置し首都圏や東海地方店舗への配送やカット野菜・パスタ・ピザ類の製造拠点となっている神奈川工場の工場見学でした。このうち、1日目と2日目に行われた6つの講義の概要を以下に記します。
最初の正垣泰彦会長の講義では、会長自身の学生時代のエピソードを織り交ぜながら、株式会社サイゼリヤの基本的な経営哲学やこれまでの歩みが示され、産業としていまだ立ち遅れたフードサービス業が、他産業並みの技術力を身につけることによって高い生産性を実現し、社会に貢献できる真の産業となるよう、業界の先陣を切って新たなる挑戦に立ち向かっていることなどをお話しいただきました。
第2講義の織戸実人材開発部長の講義では、株式会社サイゼリヤの経営理念から事業内容、これまでの店舗展開の実際と今後のチェーンストアーとしての役割が示され、正垣会長による第1講義の具体的な肉付けがなされました。
第3講義から第6講義では、第1講義と第2講義でお話しいただいた株式会社サイゼリヤの経営戦略や事業展開のアウトラインを受けて、4つの主要部門のポイントをご説明いただきました。第3講義の長岡伸企画部長の講義では、株式会社サイゼリヤにおける開発輸入の経緯と実際が示され、イタリア産の高品質ワインや生ハムなどを具体例に安価で消費者に提供できる仕組みについて解説をいただきました。第4講義の久保聡志人材開発部採用プロジェクトリーダーの講義では、株式会社における人材戦略や教育システム、キャリアアップの概要が示され、特に現場(店舗)作業の重要性が強調されました。また、2010年度(平成21年度)新規採用の方針についても触れていただきました。第5講義の田村聰明エンジニアリング部課長の講義では、株式会社サイゼリヤで生産性向上のための最も基本的な戦略である「作業のムダをなくす」ための取り組みについて、具体的な店舗の経営改善の事例などを交えつつ、解説をいただきました。第6講義の正垣将広神奈川工場工場長の講義では、素材の調達から店舗での料理の提供まで一貫して自社で取り組む「製造直販業」や素材の品質を高め、維持するために、自分たちの足で世界中を歩いて最高水準のものを探し求め、開発し、それを効率的かつ計画的な生産・流通システムで店舗に届ける「バーティカルマーチャンダイジングシステム」とその構築の取り組みについてお話しいただきました。また、第6講義の終了後、3日目に見学する神奈川工場の概要と見学に際しての注意点について説明いただきました。なお、各講義の最後には質問時間を設けていただき、学生さらには教員の質問に対して懇切丁寧にご回答いただきました。
本講義の受講により、学生は、わが国のフードビジネスの最前線について理解を深めることができたと思われます。また、神奈川工場の見学では、食品産業に求められる安全面や衛生面の管理の厳しさの一端にふれることができ、学生にとっては大変貴重な経験をさせていただいたといえます。
特別講義を快くお引き受けいただいた正垣泰彦会長はじめ株式会社サイゼリヤの皆様に改めてお礼申し上げたいと思います。
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