世界最大の魚類であるジンベエザメの健康管理に新たな一歩を記載した論文が,Zoological Studiesに公表されました.海遊館の伊東隆臣獣医師と瀬川助教は,飼育下および野生のジンベエザメから採取した血液サンプルを詳細に分析し,ヘマトロジー(血球計数)および生化学的検査の基準値を確立しました.特筆すべきは,採血部位や採血時の個体の取り扱い方法による影響も考慮に入れた包括的な研究である点です.これまで大型魚類の血液検査では,標準的な基準値の設定が困難でしたが,本研究によりジンベエザメの健康状態を客観的に評価できる指標が示されました.この成果は,水族館での飼育個体の健康管理はもちろん,野生個体の保全活動にも大きく貢献することが期待されます.
絶滅が危惧される本種の保護において,科学的根拠に基づいた健康評価が可能となったことの意義は計り知れません.このような研究に参画でき,大変嬉しく思います!
本成果のリンク
https://zoolstud.sinica.edu.tw/Journals/64/64-01.html