開発により森林がなくなることで、そこの渓流の水質が悪化していることがあります。水質が悪化した渓流水には、窒素やリン、浮遊物が多く含有しています【図5】。
たとえば、森林だった土地が農地になった場合、そこで多量の窒素肥料が使われると、その一部が硝酸イオンとして地下水や渓流に混入することになります。
ところがそうした汚れた水が、渓畔林のある地帯を経由することで、渓流の硝酸イオン濃度が大幅に低下した例もあります【図6】。
渓畔林の土壌に浸み込んだ水は、土壌が嫌気的(酸素が含まれない)であれば、大気に窒素を放出します。また、渓畔林の樹木が吸収します。このように、渓畔林には、きわめて優れた水質浄化機能があるのです。