バイオマスからは、ひとたび事故が起これば取り返しのつかない原子力発電や、二酸化炭素(CO2)を大量に放つ石炭や石油による火力発電に代わる、自然と調和した安全な電気を作ることが出来ます。バイオマスから電気を作るバイオマス発電所は、日本ではこれまで23 ケ所以上建設されています。
バイオマスからガソリンに匹敵するパワーを備えた液体燃料を作り出す研究も進められています。まず最初にバイオエタノールが作られました。既に一部実用化されていますが、バイオエタノールのパワー(エネルギー密度)がガソリンの60%と低いため、もっとパワーのあるバイオ燃料の生産が求められていました。ところが2007年には、ガソリンに匹敵するエネルギー密度の物質(フラン)をバイオマスから作る方法が発表され、可能性が大きく広がっています。
2007 年に製造法が発表された、ガソリンに匹敵するエネルギー密度を持つ液体燃料(バイオガソリン)は、森林のバイオマスから生産する実用化研究が世界で進められています。森林資源科学科でもそうした進歩に歩調を合わせ、研究に取り組んでいます。
バイオエタノールは、バイオマスから微生物(酵母)を使って、お酒づくりと同じ方法で作ります。世界ではサトウキビなど食料となる農作物から工業生産されています。森林のバイオマスから生産することは可能ですが、酵母を使うため木材からの生産はサトウキビなどと比べて難しいという欠点があります。