テレビやパソコン、携帯電話やペットボトルなど、さまざまな製品に用いられているプラスチックは、石油や石炭などの化石資源から作られています。それらのプラスチックをバイオマスから作り出せれば、環境にやさしい工業製品を使えるようになります。さらに、バイオマスから石油や石炭からは作ることのできない新しいプラスチックの開発も進んでいます。森林資源科学科では、バイオマスを分解して(食べて)生きている森林の微生物の能力を利用して、バイオマスからPDC という新しい工業原料を作り出し、新しいプラスチックや接着剤を作ることに成功しています。
森林の微生物は、バイオマスを細胞のタンパク質やアミノ酸、DNA に作りかえることができます。その能力を利用してバイオマスから新しいプラスチック原料であるPDC を作り出すことに成功し、国の研究機関とも協力して新しいプラスチックの開発を進めています。
バイオマスから微生物の能力を使って作り出したPDC は、非常にめずらしい性質の工業原料です。その性質を利用した新しい接着剤を国の研究機関と協力して開発しました。ガラスとステンレス、ステンレスとプラスチックや陶器などを接着することもできる不思議な接着剤です。
バイオマスは、新しい工業生品の生産だけでなく日本の伝統技術を守る役割も果たしています。木材の樹皮から得られるタンニンは絹の天然染料です。草木染めに使われる優雅な天然染料は、ほとんどがバイオマス由来のものです。