研究テーマ

ファレノプシスの腋芽発育機構の生理・生化学的解明に関する研究

ファレノプシスは鉢物ではシクラメンについで重要な位置を占める作目です。すでに、多くの研究が行われた結果、低温処理による開花調節技術が確立され、周年出荷が可能となっています。一方、なぜ低温処理をすると花がつくのかという疑問は残されたままです。我々はこの疑問を解明するために頂芽優勢をキーワードにして、オーキシン、サイトカイニン、ジベレリンの動態から研究を行っています。

無側枝性キクの腋芽形成機構の生理・生化学的解明に関する研究

キクは日本で最もたくさん生産される切り花です。近年、高温に遭遇すると腋芽が形成されなくなる、いわゆる「無側枝性キク」の生産が主流になっています。無側枝になると従来の’芽かき’の作業が大幅に軽減される反面、高温期の栄養繁殖が困難であるという欠点もあります。高温による無側枝性の発現を解明することは、キクの生産上の問題点を解決するだけでなく、その他の多くの作物の生産性を左右する腋芽形成能を解明することにもつながります。そこで、圃場の植物と培養植物の両方を用いて、高温による無側枝性発現に関して植物ホルモンの動態と炭水化物の代謝などの側面から研究を行っています。

ラベンダーの開花に対する低温感受性の生理・生化学的解明に関する研究

ラベンダーは一般に暑さに弱いため、日本では最近になるまであまり栽培されていませんでしたが、比較的暑さに強い品種が開発された結果、ガーデニングなどの材料として用いられるようになっています。ラベンダーはいわゆる春化植物であり、低温に一定期間遭遇した後の温度上昇と長日に伴い花芽分化と抽台をおこします。この様な植物では、多くの場合ジベレリンの内生量の増加、または感受性が高まることが知られていますが、ラベンダーの内生ジベレリンとそれらの動態などについては明らかになっていません。そこで、この研究では低温終了後の内生ジベレリンの同定と定量を行います。

サヤダイコン’パッキフッド’の低温発芽能の生理・生化学的解明に関する研究

サヤダイコン’パッキフッド’は地下部は肥大せず、サヤを食用とします。このダイコンはタイ国が原産です。一般の日本産のダイコンは低温条件下ではほとんど発芽しませんが、遺伝育種学研究室の野村教授がパッキフッドは低温条件下でも発芽するユニークな性質を持っていることを発見しました。わが研究室では野村教授と共同でパッキフッドのABA代謝に関する実験を行っています。

オドンチオダの成育・開花調節技術の開発に関する研究

オドンチオダはオドントグロッサムとコクリオーダの属間交配によって作出された新属のランです。暑さに弱いため、日本では長野県などの高冷地で栽培されています。オドンチオダはファレノプシスとは異なり、未だに開花誘導要因がわかっていないため、開花調節が困難です。そこで、わが研究室ではオドンチオダの基本的な栽培生理を解明するとともに、頂芽切除によるシュートの発育時期の調節を通した開花調節技術の開発などを行っています。この研究は株式会社ニチレイとの共同研究です。

In vitroにおけるミニバラの開花法に関する研究

試験管の中で花が咲いた植物を見たことがありますか?現在、ミニバラの試験管内開花が可能となっていますが、一層効率よく開花させる技術を開発中です。

画像解析による園芸作物の栄養診断法の開発に関する研究

植物は土から養分を吸収して成長していきますが、養分量の過不足を知る栄養診断には、時間と手間がかかる化学分析をしなければなりません。もっと手軽に生きたままリアルタイムで栄養診断ができれば、植物生産工場などの先端的植物生産技術の基盤の一つとなります。そこで、デジタルカメラなどを利用して植物の葉色を解析することにより、植物のリアルタイム栄養診断技術の開発を行っています。

根域制限による花きの生育制御技術の開発

植物が根を張る範囲である根域の容量を制限すると、多くの植物で生育が抑制されることがわかっています。この現象を上手に利用することができれば、従来大きく成長する植物を小さくかわいらしい形にすることができ、新しい商品の開発に結びつきます。一方、写真のように根域を制限しても背が小さくなる植物とそうならない植物があり、どのような植物が根域制限が有効であるかはわかっていません。そこで、この研究では根域制限栽培に適した植物を検索するとともに、根域制限の効果が植物によって異なる理由について解明を行っています。

短茎・多収を目指した温室バラの剪定方法の検討

従来、切花用の温室バラは切花単価が高い、切花長の長いものを収穫する方法で栽培されていました。一方、一般消費者の消費を拡大するには価格が手ごろで、かつ切花長は比較的短く扱いやすいものを大量に生産する必要があります。そこで、本研究では付属農場の土耕温室バラを用いて、短茎・多収に適した剪定方法について検討しています。