環境適応生物を活用する環境修復技術の開発 日本大学21世紀COEプログラム
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海南島(中国)
写真1 . 東寨港マングローブ自然保護区
 海南島は北緯18°10′〜20°10′、東経108°37′〜110°03′に位置し、大きさは330万haで九州とほぼ同じ大きさである。熱帯モンスーン気候に属して夏は海から南風、冬は北風を受けている。年平均気温は22〜26℃、年降水量は800〜2800mmで、島の東部の雨量が多く西部は少ない。また10月〜5月までが乾季、6月〜9月が雨季に分けられる。
 植生は熱帯雨林、熱帯常緑モンスーン林、落葉モンスーン林、熱帯針葉樹林、草原などに代表される。かつては島の大半が森林で覆われていたが、長年にわたり焼畑農耕が続けられ、解放後は耕地化が急激に進み、現在では森林率は24%程度である。水田、畑作地、ヤシ園や伐採放置された二次林と熱帯草原が大半を占めている。河口付近の平坦地にはマングローブ林が小規模ながら分布している。現在海南島のマングローブ林はすべて保護林に指定されている。このマングローブ林およびその周辺は古くから開発されて水田や畑、養魚池の造成がなされている。
 土壌分布はラトソル、鉄質ラトソル、黄色ラトソル、褐色ラトソル、乾燥赤色土、ラテライト性赤色土、山地黄色土で占められている。酸性硫酸塩土壌はマングローブ林およびその周辺に限られている。これまでの調査で実験サイトの候補地としては島北部の山市東寨港マングローブ自然保護区(写真1)、文昌市の清瀾港(写真2)、陵水自治区の走客村黎安港(写真3)、三亜市の亜龍湾(写真4)が挙げられる。その中で東寨港および亜龍湾に酸性硫酸塩土壌が確認されている。
山市の東寨港マングローブ自然保護区に隣接している演豊鎮の土壌はラテライトとなり農耕として利用されている。しかし、その周辺には放棄された荒地が存在している(写真5)。その荒地には、1種類の草種しか生えていな状況である。地表から15cm程度の深さにある土壌を採取し過酸化水素を添加したところ緩やかに発泡し、pHは1.4〜1.5であった。
 三亜市にある亜龍湾のマングローブ林(写真4)の土壌は、薄灰色の砂質である。その土壌を5cmから10cm掘ると硫化水素臭を放つ黒灰色の土壌を見ることができる。この土壌に過酸化水素を添加すると白煙を発生し(写真6)、その過酸化水素水のpHは1以下であった。
写真2. 清瀾港マングローブ林
写真3. 黎安港マングローブ林
写真4. 亜龍湾マングローブ林
 山市東寨港マングローブ林自然保護区の周辺には多くの荒地があると予想される。特に島北部の東寨港マングローブ自然保護区に隣接している演豊鎮と島南部の亜龍湾のマングローブ林の土壌は酸性硫酸塩土壌であり、本プログラムの「環境適応生物を活用する環境修復技術の開発」のための試験土壌として適していると考えられる。本プロジェクトの海外拠点になっているタイ、ベトナムに並んで大変興味深い場所であり、それぞれの地域の酸性硫酸塩土壌を用いてその土壌に強い植物の生育実験を行うことで大きな成果が期待できる。なお、フィールド調査に関する協力機関としては、海南大学生命科学農学院(海口市)がある。土壌分析や植物栽培実験の実施および土壌図や土地利用図などの資料入手について協力が行われている。

(木平勇吉、杉浦克明)


参考文献
吉野正敏編(1997)熱帯中国−自然そして人間−.388pp、古今書院、東京.
写真5. 演豊鎮の荒地
写真6.過酸化水素の添加による発泡の様子

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