新たな治療法の開発

イヌの肺高血圧症・治療法の開発:肺高血圧症という病気は息苦しい状態が続く辛い病気です。僕の研究は犬の肺高血圧症の治療・軽減を目指すものです。肺高血圧症の原因は多岐に渡りますが、重篤な症例では寿命3ヶ月程度と非常に恐ろしい病気です。しかしたとえ残り少ない命でも最期まで元気に生きてほしいという考えのもと、アンブリセンタンという新しい薬を使ったところ、呼吸状態は改善し、元気食欲の回復が認められました。これからも苦しむ動物を救うために研究を進めたいと思います。獣医放射線学研究室 合屋征二郎

犬のiPS細胞を用いた再生医療:ヒトにおいては、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた再生医療が既に展開されていますが、犬では病原ウイルスなどを用いて作製された「研究用」のiPS細胞しかありませんでした。それは、犬ではiPS細胞の樹立が難しいことに起因しています。そこで、iPS細胞を作製するための初期化遺伝子セットの組み合わせを変えたり、特殊な方法で初期化遺伝子を導入したりするなどの手法を用いて、世界で初めて「臨床グレード」の犬のiPS細胞を樹立することに成功しました。このように、犬のiPS細胞を用いた再生医療が現実的なものになりつつあります。獣医外科学研究室 枝村一弥

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新しい感染症治療法の開発: 我々の体は、感染した病原体を排除する仕組み「免疫」を備えています。しかし、ヒトや動物に感染するウイルスの多くは、免疫を抑えるタンパク質を作って免疫による攻撃に対抗(免疫回避)し、病気を引き起こします。我々のグループは、コロナウイルスの免疫回避に働くタンパク質の働きを「光」に変えて測定する技術を開発しました。現在、この技術を応用して、新型コロナウイルスを含むコロナウイルス感染の治療法開発に取り組んでいます。獣医伝染病学研究室 小川健司