生命農学科の魅力と取組みを発信
生命農学科通信 vol. 44「青色の彼岸花は現実にある?」
少しシーズンが過ぎてしまいましたが、お彼岸の時期の花「ヒガンバナ」。
キャンパス内でもちらほら見かけます。
ヒガンバナはその名の通り秋のお彼岸の時期が開花期です。
真っ赤な放射状のその花はとても美しく、魅惑的ですよね。
ただし、アルカロイド等の有毒成分を含む植物としても知られています。
現在大人気の鬼滅の刃では、鬼舞辻無惨が『青色の彼岸花』を懸命に探していますが、現実には存在するのでしょうか?
※写真はイメージです
ヒガンバナに近い種で、青色に近い色は存在しますが、『青色の彼岸花』は今のところ存在しません。
そもそも日本でよく見るヒガンバナは3倍体なので、交雑育種で種子をとることが自然状態ではほぼ不可能です。
つまり、青色に限らず、赤色以外の品種を作出することがなかなか難しいのではないかと思います。。
(※3倍体は染色体の数が3つということです。減数分裂がうまくできないので種子をつくることができません。種なしスイカを作る技術にも応用されます。)
鬼舞辻無惨が1000年探しても見つからないわけですね・・・。
しかしながら、青色の品種は作出不可能とされてきた花でも、現代では遺伝子組換え技術によって青色の花の開発に成功しているものがあります。
SUNTORYによって青いバラや青いカーネーションが作出されたのは、かれこれ10年以上前ですが、最近では農研機構野菜花き研究部門が青いキクの作出にも成功しています。
(ちなみに、昨年の生命農学科特別講義では青いキクを開発した農研機構野菜花き研究部門の先生をお招きし、青いキクに関する講義をしていただきました!)
東野圭吾さんの小説『夢幻花』に幻の花として出てくる『黄色いアサガオ』も現在には存在しないといわれていましたが、基礎生物学研究所が遺伝子組換え技術によって『黄色いアサガオ』の開発に成功し、現実のものとなりました。
青い彼岸花が現実のものとなる日も、それほど遠くは無いかもしれないですね。
バイオテクノロジーを応用することによって、ファンタジーの世界のものを現実世界に作り出すことができます。
科学の力って、とても面白いと思いませんか!?
ちなみに、生命農学科でも花の色について研究している先生がいます!
花の科学研究室の水田大輝専任講師です。
水田先生は、サクラソウやツツジなどを用いて花色の多様化のメカニズムを明らかにする研究に長く取り組んでいます。
今は秘密ですが、ある花を青色にする基礎研究も進めていたりします。
☆生命農学科公式HP
http://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~
☆生命農学科 公式Instgram
https://www.instagram.com/
2020年11月4日