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学会発表
日本作物学会(北海道大学農学部にて2018年9月に開催)
※ポスター発表日本作物学会関東支部会(日本大学生物資源科学部にて2018年12月に開催)
※口頭発表
※学会運営に携わる
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現在行っている研究内容について教えてください。
キノアの栽培方法の確立を目指して研究を行っています。
キノアとは南米原産の穀物で、栄養バランスの良さからスーパーフードとも呼ばれています。
近年では、NASAから宇宙食として注目されているほど優秀な食べ物です。
しかし、キノアは日本での研究者はほとんどおらず、栽培方法についてもほとんど確立されていません。私は、国産のキノアを広めるべく、品質がよく多収(収量が多いこと)なキノアの栽培方法について研究しています。作物は品種によって、多収なもの、高品質なもの、病気に強いもの・・・など様々なタイプがあります。キノアも色々な種類があるのですが、日本では大きく分けると春播きタイプのものと秋播きタイプのものが存在します。南関東では春播きタイプのものは多収性ですが品質がイマイチ、秋播きタイプのものは高品質ですが収量がイマイチ、それぞれに利点と欠点があります。
栽培方法を工夫することによって両方の利点を合わせることができればと考えています。
植物は成長するために光合成をするわけですが、この光合成の効率を良くすることによって、減収や品質の劣化を抑制することができる可能性があります。そこで、キノアの栽培間隔(畝間)を変えて栽培することによって、狭い面積でも光合成効率を上げることで多収量が望める栽培体系を検討しています。
研究活動において
本学における利点と感じるところはどんなところですか。
ネットワークの広さだと思います。
生命農学科は農学・生命科学の研究をしている学科で、フィールド(圃場)で栽培技術の確立を主とする研究室、ラボ内でのバイオテクノロジーや生化学に関する研究を主としている研究室などがあります。扱っているものも作物、花、野菜、果樹、緑化植物、昆虫、ウイルスや細菌とその専門も多岐にわたります。
さらに生物資源科学部全体で見ると、動物、海洋生物、生物工学、医療分野・・・とその分野はさらに広がります。農学分野だけでは解決できない知識や研究設備が必要になった場合にも、徒歩数分の距離で他研究室や他学科に行って解決できたりします。また、公務員、一般企業、研究機関・・・ととにかく卒業生が多いので仲間がたくさんいます。
ちなみに私は、本学科を卒業後、他大学で教員を務めている先生とも共同で研究を進めています。
施設や設備など研究環境面についての魅力を教えてください。
研究費や研究設備はとにかく潤沢だと思います。
実験を進めていくうえで分析機器や試薬等が必要で、とにかくお金がかかります。ですが、これまで研究を進めてきた中で、必要なものがそろわないということは全くありませんでした。私は、キノアの成長効率を見るために植物ホルモンの解析も行っていますが、この解析にはLC/MS/MSという機器を用います。この機器は何千万もする機器ですが、学内にある総合研究所という施設で保有しており、施設内の機器はいつでも自由に学生自身が利用できます。
また、私は学内の圃場でキノアを栽培していますが、他の研究室も圃場や温室で色々な植物を栽培しています。複数の研究室が栽培実験をできるほどの大規模な圃場が学内にあるため、作物の栽培から研究室での解析までを全て自分自身で行うことができます。私はこれが当たり前のことと思っていましたが、学内に研究圃場を持っている大学は意外と少ないみたいで驚いています。
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現在の研究活動を通じて実現したい
目標と将来の展望を聞かせてください。私の出身校では大学進学する人が多く、自然と大学進学を考えていました。
高校生時代に生物、特に植物の栽培や生理機能学に興味を持ったこと、首都圏に憧れていたこともあり、本学科に進学しました。学部生時代に、キノアに関してフィールドから生命科学、生理機能科学の観点から研究取り組んだことで研究に興味を持ち、大学院に進学しました。
すでに、北海道大学で開催された日本作物学会にて、これまでの研究成果を発表しましたが、多くの研究者が興味を持ってくれたようです。
このようにキノアは非常に魅力的な穀物ですが、国内で販売されているキノアは100%輸入品です。大学院在学中に、キノアの栽培方法を確立し、国産のキノアを広めていきたいと思っています。実際に、私が所属する研究室の教授は、湘南をキノアの産地にしようと、地元の農家さんに栽培方法を教える活動もしています。
大学院修了後については、農業試験場の研究員や農業普及員として、大学で学んだ経験を活かして日本国内の農業発展に貢献していきたいと考えています。