生命農学科の魅力と取組みを発信
生命農学科通信 vol.41「アジサイの全ゲノムが明らかに!」
梅雨入りして、雨の天気が続く季節となりました。
今が旬の花といえばアジサイ
雨に濡れるアジサイは、とても綺麗ですよね。
日大生物資源科学部キャンパスからも近い鎌倉には、アジサイを見るために多くの人が集まりますが、今年は新型コロナウイルスの影響によりお客さんの人数制限がされているところもあるみたいですね。
さて、そんなアジサイについて嬉しいニュースです!
奈島賢児専任講師(遺伝育種科学研究室)・東未来助教(農業生産技術研究室)が共同研究機関とともに、世界で初めてアジサイのゲノム解読に成功しました!
ゲノム・・ってなんだか難しいような響きかもしれませんが、ゲノムとは生物の設計図みたいなものです。
この生物の設計図ともいえるゲノムですが、どこの研究機関が、どこの国が一番に解読するか、色々な生物で競争が繰り広げられています。
ゲノム情報には、その生物の形質を示す遺伝情報が詰まっています。
そこには、まだ知られていない新たな有用遺伝子も眠っているかもしれません。
これまで明らかにされてこなかった現象を明らかにする情報が隠されています。
ゲノムの情報は生物の研究者にとって、喉から手が出るほどに欲しいデータなのです。
ゲノム解読について説明する奈島専任講師
さらに!!
このアジサイゲノムが明らかになったことにより、
アジサイの花の形にかかわる重要な遺伝子も明らかになりました!!
アジサイと聞いて、皆さまどんな花を想像しますでしょうか?
実は花の形のバリエーション、こんなにたくさんあるんです。
この中で奈島専任講師・東助教をはじめとするアジサイ研究グループが着目したのは、一重咲きと八重咲き。
一重咲きは、花弁(アジサイなのでがくとも言える)が4枚、八重咲きは花弁がたくさんです。
アジサイに限らず、八重咲きの花は華やかなのでとっても人気です。
アジサイ研究グループではこの八重咲き性に関わる遺伝子を明らかにしました!
LEAFYと呼ばれる遺伝子です。
LEAFY遺伝子は花の形成に関わる遺伝子として知られている遺伝子ですが、アジサイの場合にはLEAFY遺伝子の機能を失うと八重咲きになるようです。
不思議ですね~。
今回の研究では、‘隅田の花火’という八重咲き品種と、一重咲きの品種のアジサイでゲノム情報を比較しました。
その結果‘隅田の花火’のLEAFY遺伝子には1箇所変異があり、その変異によってLEAFY遺伝子の機能が失われていることを明らかにしました。
~アジサイの新品種開発について~
アジサイは花木なので、種を播いても数年たたないと花が咲きません。
そのため、八重咲きの新品種を育成したい!と思っても、交配してからその花の形を確認するまでに数年間も待たなくてはなりません。
花が咲いたと思ったら、八重咲きのものはなかった・・・・となったら育種家からするとがっかりしてしまいますね・・・。
この研究の中で、芽生えの時点でLEAFY遺伝子を調査することで、将来八重咲きの花が咲くか?咲かないか?を簡単に知ることができる技術も開発されました!
八重咲きアジサイの品種開発が効率的になって、新しい品種のアジサイがたくさん作出されることと思います。
今からとっても楽しみですね!
この研究成果はかずさDNA研究所のプレスリリースにて、より詳しく紹介されています。
https://www.kazusa.or.jp/news/200619/
興味のある方は是非ご覧ください!
※このアジサイの研究は、日本大学とかずさDNA研究所、福岡県農林業総合試験場、宇都宮大学、滋賀県立大学、栃木県農業試験場の共同研究で進められました。
今後の研究も楽しみです☆
この研究を行った教員
奈島賢児(専任講師:遺伝育種科学研究室)
東 未来(助教:農業生産技術研究室)
2020年6月24日