生命農学科の魅力と取組みを発信
生命農学科通信 vol.32「現場に身を置いて考える」
昨年も台風被害を含め、多くの自然災害がありました。
近年は気候変動の影響もあるためか、このような自然災害が多く話題にあがります。
国際的にも「生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)」という考え方が広まり、「恵みの自然」だけではなく「荒ぶる自然」に対しても正しく目を向け、うまく付き合っていく社会が求められるようになりました。
本学科でも、それら自然災害地において、復興をテーマとした研究やその地域の人々の声に接し学ぶ実習等が実践されており、今回はそのご紹介です。
例えば、宮城県の仙台湾沿岸における2011年3月の津波被災海岸林で、その樹林の再生プロセスについて継続的に調査・研究に取り組んでいます。津波後のマツ実生の天然更新の状況、津波後に多く開花した攪乱依存種カワラナデシコの群落形成メカニズム、残存樹木のその後の生残状況や枯死要因、将来の樹冠木になる種の抽出と遷移後の海岸林の姿の描写等々、卒業研究で多くの学生が現地に赴き、汗を流しつつ研究に取り組んでいます。
また、これらの成果を踏まえて、被災住民の方々と協働しながら集落跡地での海岸林再生の試みも進めています。
宮城県沿岸での調査の一コマ ~津波という大規模自然攪乱の後に、海岸林だった場所で植生や生態系はどのような回復プロセスに向かうのか、継続的にモニタリングを続けています~
被災集落跡地での住民の方との海岸林再生活動の一コマ
学生実習では、2019年の台風19号21号と立て続けに直撃を受けた房総半島での昨年秋の事例を紹介します。農家の方の被害も甚大で、離農を低減するためには次の収入の元になる苗の作付けが急務となっており、その一助となればと学生15名が1泊2日の実習で畑仕事のお手伝いをしてきました。
冬レタスの産地でもあり、苗の霜よけのビニール張り用の竹竿刺しがメインの作業で、受け入れ農家の方と談笑や人生相談をしながら、日暮れまで作業を続けました。
房総半島の先端、館山市での復興支援実習の一コマ
「冬レタスよ 美味しく育て!」
「現場に身を置いて考える」ことを大事にしています。その土地の風景(緑地環境)と農作物生産のある暮らし、時に襲う自然の猛威とそれに対する人々の思いや願い・・・、それらに接した学生たちは、きっと何かを得ることができると考えるためです。
生命農学科の入試情報の詳細はこちらです→
生命農学科入試情報http://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~agb/admission_info/overview/
2020年1月21日