2023/2/22
★境川遊水地公園のクイナ
クイナといえば、沖縄本島に生息する
飛べないヤンバルクイナが有名ですが、
大学周辺でもクイナの仲間を
観察することができます。

ヤンバルクイナは森林に生息しますが、
境川遊水地ではクイナとヒクイナが湿地に
バンが湿地や池に生息します。
クイナとヒクイナは、
どちらも発見の難しい鳥ですが
バンは一年中みることができます。
バンは、他のクイナと同様に
水の無いアシ原を歩くこともありますが、
しばしば池などで水面にお腹をつけて泳ぎます。
クイナとヒクイナは泳ぐことはありません。




クイナはツル目クイナ科に分類される
冬鳥です。
長い趾(あしゆび)と
短く先端の丸い翼が特徴です。
嘴はやや長く、バンの上嘴の基部には
肉質の付属物(額板)があります。
クイナの嘴はやや細長く軽く
下に湾曲しています。
博物館には
本剥製標本(展示でみる普通の標本)の他に、
仮剥製標本(研究用の標本)がありました。






参考 「神奈川県立境川遊水地公園の野鳥」(公益財団法人神奈川県公園協会,2015)
2023/2/15
★カワウの巣に雛
1/18に報告しました横須賀市長井の
轡堰(くつわぜき)のカワウの巣で、
2/11に雛を確認しました。
カワウは、抱卵期間が27~31日
といわれています。

現地に行くと
「ピーィ,ピーィ,ピーィ,ピーィ」という
雛のかん高い声が聞こえたので
孵化したことに気付きました。
複数の巣で様々な成長段階の
雛を見つけることができました。
頭と足を除く体全体に、
もこもこの綿羽が生えます。
綿羽は、体温を保持するための羽毛です。
ウ類は成長すると鼻の孔が無くなりますが、
まだこの時期の雛にはあります。
こちらの雛は孵化後間もない時期です。
上嘴の先端に孵化の時に殻を壊す役割の
卵歯(らんし)が認められます。
こちらの雛は親から餌をもらいます。
雛は親鳥の口の中に頭を入れて、
餌(魚)をもらいます。
この巣には2羽の小さな雛と
1羽の少し大きな雛が見られます。
近縁のウミウの繁殖の様子は、
2022年の5/18,7/20,8/24などでも
紹介しています。
2023/2/8
★遊水地のタシギ
大学の周辺には、野鳥観察のできる場所があります。
大学の東側に境川,西側に引地川という
2本の大きな河川があり、
そのどちらにも洪水時の水溜め場の機能をもつ
遊水地があります。

境川遊水地公園の今田遊水地は、
底質が泥の湿地で周囲には
アシ原などが群生しており、
ある種の野鳥にとっては非常に大切な環境です。
今回は当地で見られる鳥のうち、
タシギを紹介します。
タシギは、ムクドリとハトの
中間くらいの大きさの水鳥で、
まっすぐで長い嘴を持っています。


動画は、タシギが泥に嘴を差し込んで
何かを採食している様子です。
動画は0.2秒の動きを1秒間に引き延ばしたものです。
すなわち5倍速で見た時に通常の速さとなります。
嘴を深く差し込みますが、時々小刻みに
頭を上下させながら嘴中にあるものを
吸い上げるような動きをしています。
細長い泥を吸っているように見えますが、
いもむし型の虫などを食べているのでしょうか。
こちらは博物館のタシギです。

長い嘴の先端部には、虫を感知するための
神経が集中しています。
眼が頭の真横付近に位置するため、
頭の後方の物も見えています。
2023/2/1
★岩礁のカモ類
葉山の芝崎(しばさき)海岸は、
浅い岩礁が広がっていて、
しばしば海鳥の良い餌場となっています。
この日は強い西風で時化(しけ)ていましたが、
シノリガモやウミアイサが探餌していました。
シノリガモは北海道など
北の海岸に多い小型のカモで、
貝類,魚,甲殻類,ウニなどを
採食すると言われています。
一方、ウミアイサは、冬季の海岸に
全国的にみられるカモで、
主に魚を採食します(中村・中村,1995)。
お互いに別々の群れで採食していましたが、
互いの群れが接近した時に、いざこざがありました。
ウミアイサがシノリガモに向かって突進しました。
シノリガモは一度逃げましたが、
すかさず反撃をしていました。
どちらのカモも神奈川県では
冬季の海岸で見られます。
シノリガモは、年によって見られる年と
そうでない年があります。
見られる時もいつも少数です。
撮影した2023年1月25日には3羽を同時に見ました。
ウミアイサは、数羽で見る機会が多いのですが、
時々に50羽を超えるような群れをみることもあります。

参考:博物館HP 2018年3月14日
★常設展示コーナー ウミアイサ
参考文献:「原色日本野鳥生態図鑑〈水鳥編〉」中村登流・中村雅彦 共著,1995 保育社