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大学院からのお知らせ

2025.04.02 学会発表

分解の主役は誰?環境×生物×有機物の関係を探る「ブナ落葉と材の分解速度に対する微生物要因の影響評価」生物資源生産科学専攻 修士2年 上野美桜(神奈川県立麻溝台高等学校)

第72回日本生態学会 2025年3月16日

森の中では落葉や枯死木が分解され、炭素が土に蓄えられたり、養分として再利用されたりします。この仕組みは森林の健康を保つうえで重要ですが、気候変動により気温や降雪量が変わると、分解のスピードも影響を受ける可能性があります。分解の速さが変われば、森林の炭素貯留量も変化し、地球環境に影響を与えるかもしれません。
そこで私たちは、落葉と枯死木の分解がどのような要因で変わるのかを調べました。特に、気温や水分といった環境要因と、菌類や細菌類といった生物要因に注目し、群馬県と新潟県の標高の異なる森林で実験を行いました。
その結果、落葉は気温や細菌の影響を強く受け、温暖な場所では分解が早く進みました。一方、枯死木は菌類の影響が大きく、水分条件によって分解速度が変化することが分かりました。また、雪が少ないと乾燥が進み、分解が遅れる可能性も示されました。
この研究を通して、森林の炭素貯留機能が環境の変化にどう反応するのかを明らかにしました。気候変動が進む中、森林の役割を正しく理解し、環境保全に活かしていくことが大切です。

【先生からの一言】
上野さんは、野外での調査だけでなく、実験室でのDNA関連の作業も持ち前の粘り強さでしっかりとこなすことができました。また、統計解析ソフトを用いた解析もかなりがんばりました。上野さんの研究は、森が未来を守るという働きのメカニズムに迫ったものです。
(森林学科 森林生態学研究室 准教授 上村真由子)

指導教員 森林学科 上村真由子
森林学科URLはこちら: https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBSfos

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