今年は暖冬で、年末に30pの雪が降りましたが、1月5日には融けてしまいました。根雪になったのは1月17日夜から18日にかけて通過した南岸低気圧による降雪によってでした。この雪で東京も6pの積雪になり、高速道路の通行止め、鉄道の運転見合せ等交通機関に影響が出ました。その後記録的な寒気が日本列島に流れ込み、24日夜沖縄本島で観測史上初の雪(みぞれ)が観測されました。しかし積雪量は例年に比べて50p以上少ない状況が続いています。この夏の水不足が心配されます。今回は冬季の樹木観察方法と自動撮影カメラ(動画)で撮影された動物を紹介します。
前回は鱗芽と裸芽、葉芽と花芽と混芽の冬芽を紹介しましたが、今回はその他の冬芽を紹介します。
春になって伸びる芽を主芽と言い、主芽が寒害・虫害等で生長できなかった場合に伸びる予備の芽を副芽と言います。主芽と副芽が上下に並んでいるものを重生芽(じゅうせいが)と言い、横に並んでいるものを並生芽(へいじょうが)と言います。副芽を持っている樹木は少ないので樹種判断の材料になります。
![]() 重生芽・並生芽 |
重生芽を持つ樹種としてハクウンボク・アブラチャン・エゴノキ・オニグルミ側芽等を挙げることができます。 並生芽を持つ樹種としてクマイチゴ・ヤマハギ等を挙げることができます。 |
![]() ハクウンボク重生芽 |
![]() アブラチャン重生芽 |
![]() エゴノキ重生芽 |
![]() オニグルミ重生芽 |
![]() クマイチゴ並生芽 |
![]() ヤマハギ並生芽 |
![]() 1.有柄芽 |
![]() 2.葉柄内芽 |
![]() 3.隠芽 |
多くの冬芽は無柄ですが芽柄を持っている冬芽もあり有柄芽と言います。有柄芽の樹種としてムラサキシキブの葉芽・マルバマンサクの葉芽・ヤマハンノキの葉芽・アブラチャンの花芽・オオバクロモジの花芽・ウリハダカエデ等を挙げることができます。
![]() マルバマンサク |
![]() ウリハダカエデ側芽 |
ムラサキシキブ・ヤマハンノキの有柄芽の写真は前回の水上演習林日誌28に載っていますので参照して下さい。
![]() アブラチャン花芽 |
![]() オオバクロモジ花芽 |
アブラチャンの葉芽は重生芽になっています。
葉柄の基部内に冬芽ができ、落葉するまで保護されている冬芽を葉柄内芽と言います。葉柄内芽の樹種としてキハダ・フジキ・タラノキ・ハリギリ・ヌルデ等を挙げることができます。
![]() 除去前 |
![]() 除去後 |
![]() タラノキ葉柄内芽 |
![]() ハリエンジュ隠芽 |
葉痕や樹皮の中に冬芽が隠れていて、外からは見えない冬芽を隠芽と言い、隠れている冬芽の先が少し見えるものを半隠芽と言います。隠芽の樹種としてハリエンジュ・サルナシ等、半隠芽の樹種としてマタタビ等を挙げることができます。
![]() サルナシ隠芽 |
![]() マタタビ半隠芽 |
今年は12月9日までカメラを設置しました。昨年と比べるとブナの果実が豊作のため、ニホンツキノワグマは演習林までさがってきませんでした。水上演習林日誌30でニホンイノシシの泥浴びを紹介しました。同じヌタ場で同じ日に下記の表のようにニホンイノシシとホンシュウジカの泥浴びが記録されました。ホンシュウジカの繁殖期は秋、ニホンイノシシは晩秋から冬に繁殖期があることから縄張り争いと関係があると思われます。またニホンザルの夜間行動が記録されました。ニホンザルは昼行性なので、本学の中島啓裕先生に理由をお尋ねしたところ下記の回答がありました。
「完全に真夜中に動いていて驚きました。気になって調べてみたら、10月29日はちょうど満月の日でした。撮影されたのも24:00頃なので月も南中していて、かなり明るかったのではないかと思います。実際動画もかなり明るい印象を受けます。ニホンザルの研究をしている何人かに録音されている声を聞いてもらいましたが、声はニホンザルのものではない可能性が高いとのことでした。満月の夜には色々な動物が活動しているのかもしれません。アフリカのガボン共和国で撮れた夜移動するゴリラも満月の夜に撮影されるケースが多かったように思います。動物の活動レベルと月の満ち欠けの関係は新しくて興味深い研究テーマだと思いました」
と言うことです。
![]() |
動画(1) 動画(2) 動画(3) 動画(4) 動画(5) 動画(6) 動画(7) 動画(8) |
(2016年02月)