今年の冬は大雪の期間と暖かい期間が繰り返し訪れた季節でした。これも暖冬のせいでしょうか。冬は空気が澄み、周りの山々が良く見えますので紹介します。また、冬季の樹木の識別方法も紹介したいと思います。
観察日誌4で演習林から見た谷川岳を紹介しました。今回は水上実習所から2kmほど北にある湯桧曽公園からの谷川岳を紹介します。
![]() 湯桧曽公園から見た谷川岳 |
![]() 双耳峰(左がトマノ耳)の谷川岳 |
谷川岳は三角点のあるトマノ耳(1963.2m)とオキノ耳(1977m)の二ツのピークからなる双耳峰です。耳二ツの別名があり、離れた場所から見ると猫の耳のように見えることに由来します。写真は湯桧曽公園から見た谷川岳です。夏は水遊びもできるお薦めの場所です。 上越線の水上駅に向かう途中、沼田駅を過ぎたあたりから谷川岳の耳二ツが見え始めます。上牧駅の手前からは左の車窓にきれいに見えます。 谷川岳登山は天神尾根から登るのが一般的で、最初にトマノ耳に着きます。その先にオキノ耳があります。このことからオキノ耳の由来は「沖ノ耳」すなわち離れた所にある耳を意味します。トマノ耳は利根地方で手前の出入口を意味する「とまくち」に由来し、手前の耳を意味します。谷川連峰には岩壁で有名な一ノ倉沢があり、いつか紹介したいと思います。
![]() 上牧駅から見た耳二ツ(谷川岳) |
![]() トマノ耳から見たオキノ耳 |
観察日誌4で冬季の樹木観察のポイントを2点挙げました。今回はその続編です。幹や枝にトゲがある樹種があります。トゲの有無が判断材料の一つになります。水上演習林ではハリエンジュ・タラノキ・ハリギリ・サンショウ等が該当します。
![]() ハリエンジュ |
![]() ハリエンジュの果実(豆果) |
観察日誌6で紹介したようにハリエンジュには托葉が変化した大きなトゲがあります。小さな木や枝にはトゲがありますが、大きな木の樹皮にはトゲがありません。また、葉痕の形がコウモリに見えます。果実は豆果で冬にもたくさん残っています。
![]() タラノキ |
![]() ハリギリ |
山菜として有名なタラノキもトゲがあります。栽培も盛んでその場合は、トゲがほとんどないメダラという品種が使われています。 ハリギリの小さな木や枝にもトゲがあります。大きな木の樹皮にはトゲがありません。樹高20m・胸高直径50cmもの大木になり、用材としての利用価値も高い木です。別名センノキとも言います。
(2010年2月)