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| <酸性硫酸塩土壌の土地利用と農業> |
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| 木平 勇吉、水嶋 一雄、中山 裕則、水野 正己、半澤 和夫、松本礼史、山下 哲平 |
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| 写真1 |
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アジアの酸性硫酸塩土壌地帯は、比較的人口密度の高い地域に存在しています。写真1に見られるように、一部の土地は不毛地となって放棄されていますが、人口圧力から、放棄地を許容できる社会環境になく、地元住民は劣悪な土壌との共存を強いられています。
(写真1)中国・海南島の酸性硫酸塩土壌地帯 |
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写真2は、ベトナム・メコンデルタAn Giang省のカンボジア国境に近い酸性硫酸塩土壌地帯ですが、あたり一面、水田として利用されています。写真3は、同じくメコンデルタTien
Giang省の酸性硫酸塩土壌地帯です。ここでは水稲の栽培をあきらめ、パイナップルを作っています。このほか、建築に用いられるメラルーカ材の育林や、淡水魚の養殖など、酸性硫酸塩土壌地帯では、地元住民が工夫を凝らした生産活動が営まれています。
(写真2)ベトナム・An Giang省の酸性硫酸塩土壌地帯 |
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| 写真2 |
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| 写真3 |
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(写真3)ベトナム・Tien Giang省のパイナップル畑
酸性硫酸塩土壌地帯では、元々生えていたマングローブ林等の伐採や、耕起により問題が顕在化します。問題解決のためには、
1.マングローブ林等を保護し、耕作を行わないこと
2.環境保全に配慮した農業を続けながら、環境修復を行う といった選択肢があります。どちらの選択肢を取るにせよ、地元住民が十分に暮らしていけるだけの経済的な便益を確保する必要があります。
マングローブ林保護のケースとして、海南島の北部にある演豊鎮の国立自然保護区があります(写真4)。ここでは、汽水域に広がるマングローブ林が保護されており、魚、水生生物、樹林、鳥類の生息、生育の場として生物多様性に富む環境としての機能が発揮されています。さらに、防潮林として台風や津波を防ぐ役割も担い、地域の安全に貢献しています。また、保護されたマングローブ林は、エコツーリズムの素材としても活用され、小型の遊覧船によるツアーが行われています。さまざまな樹林や鳥の姿を学ぶことができるので、新しい地域の資源として役立っています(写真5)。周辺の汽水域では、海草の栽培が行われ、地元住民にとって、貴重な現金収入源となっています(写真6)。このように、海南島では、マングローブ林の保護と、地域社会の暮らしとが両立できる仕組みが模索されています。
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| 写真4 |
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| 写真5 |
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| (写真4)マングローブ保護林の景観 |
(写真5)マングローブ林を学ぶエコツーリズムの遊覧船
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| 写真6 |
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(写真6)海草の栽培は住民の貴重な収入源
環境保全型の農業を続けているケースとして、ベトナム・メコンデルタHau Giang省の農家があります。ここは、本研究プロジェクトのカウンターパートであるカントー大学の研究センターがある場所です。この地域では、酸性硫酸塩土壌問題に対応するために、ポンプによる水管理の重要性が認識されています(写真7)。全くポンプを利用していない農家のコメの冬期収穫の平均収量は300kg/10a、レンタルポンプ利用農家の平均が520kg/10a(6世帯)、ポンプ所有農家の平均収量は約700kg/10a(3世帯)でした(図1)。ポンプを所有する農家は、相対的に高い面積あたり収穫量を得ています。収穫量の差異は、ポンプの購入代金を短期間で回収できる金額に相当します。しかし、ポンプの所有は進んでいません。現地農家にとって、資金的にポンプを購入するゆとりがないことと、ポンプ所有の効果が現れるまでに、7年から10年の期間かかることが理由と考えられます。農家の経営条件や環境保全意識の面から、環境修復技術の普及条件を整えていく必要があります。
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| 写真7 |
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| 図1 |
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| (写真7)農家が所有するポンプ |
(図1)ポンプ利用形態と面積あたり収量 |
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| 写真8 |
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(写真8)インタビュー農家にて
以上のように、アジアの酸性硫酸塩土壌地帯における、地元住民の生活は様々です。私たちの研究グループでは、航空写真・衛星写真等のデータを、地理情報システム(GIS)を活用して土地利用の変化を定量化し、農家のインタビュー調査により、経営状態や環境保全に対する意識を把握しています。環境を保全しながら、そこで暮らす人々が、より豊かな生活を営めるよう、開発と環境保全の一致した土地利用が行えるよう、現地調査を続け、環境修復技術の普及・定着条件を探っています。 |
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