骨の博物館

2022/6/29
★海岸の巨大な草

海岸は強風や乾燥,塩害など
植物にとって過酷な環境です。
でも、これに適応する特異な植物が
生育します(海浜植物)。

写真は稲村ヶ崎(6月)の景観ですが、
2mを超える大きな草が生育します。
これはハマウドです。
ハマウド

ハマウド

「うどの大木」の由来の食用になる「ウド」は
ウコギ科ですが、ハマウドはセリ科です。
「うど」の名は大きな草に使用されます。

セリ科は、ミツバ,セロリ,パセリなど
香り野菜が有名で、
ハマウドも独特の香りがあります。
花が傘をひろげたように
並ぶ(花序)ことも特徴です。

花には強い匂いがあり、
ハナアブ類やハナバチ類が集まります。
葉に時にキアゲハの幼虫を見かけます。
ハマアブ

ハマバチ

キアゲハ

ハマウドは多年草ですが、
小さな実から花をつけるまでに
どれくらいかかるのでしょうか。
花がみられる時期に、
小さな実生(みしょう)も見られます。
ハマウド

ハマウド

植物観察は花や実に注目しがちですが、
長い目で植物の生長の様子を観察できると
面白いと思います。


2022/6/22
★橙色の蝶

詳しい人に教えてもらうまで、
身近にこんなにかわいらしい蝶々が
いることを知りませんでした。
アカシジミ

植食性昆虫の多くは
餌の植物(食草)が決まっていて、
好みの生息環境があります。

南関東の丘陵や台地などは、
昭和40年頃まで燃料用の薪をとるための
コナラやクヌギの林が定期的に
伐採されながらに維持されてきました。
この様な雑木林がアカシジミの住みかで、
コナラは食草でもあります。
コナラ

大学内にもコナラは多く
何度かアカシジミを見たことがありますが、
数の多いチョウではありません。

アカシジミは、夕暮れ時に
コナラの樹冠部をチラチラと
飛び回る習性があります。
見られる時期は、一年のうち、
初夏から梅雨時に限られます。
探せるのは今だけです。是非!
アカシジミ


コナラは博物館の裏や、図書館前、
2号館前などにたくさんあります。
コナラ



2022/6/15
★オオシマザクラの芽出し

昨年の4月と今年1月にそれぞれ「クヌギの芽吹き」と
クヌギの落葉」のタイムラプス※動画を紹介しましたが、
今回はオオシマザクラの芽出しを紹介します。
※一定間隔で撮影した写真をつなぎ合わせて動画をつくる手法


動画右下の全画面マークを押すと
大きな画面でご覧いただけます。


サクラの開花と葉の展開時期は、
下のように種(群)ごとに決まっています。
開花

オオシマザクラは、Cです。
ソメイヨシノ(キャンパス内でいうと藤沢高校への通学路)や
シダレザクラ(図書館前)はAです。
オオシマザクラ

芽出しや開花,結実の前後は、植物の動きが感じられる瞬間です。
動画では、花が終わった時期4月4日から9日の
たった数日間の間で劇的に葉が展開しましたね。
(映像の空白期間、残念)
花が終わるのを待って、一斉に葉を伸ばすのでしょうか。

オオシマザクラ

小さな冬芽に、これらの新しい枝葉や花が
折りたたまれた状態で入っているというのが不思議です。
冬芽に関連して、花の無い時期にサクラの同定は困難ですが、
いくつかの種は芽の形態で識別できます。

オオシマザクラとソメイヨシノの冬芽を見比べると、
ソメイヨシノには褐色の毛が生えるので識別できます。
冬芽といっても、すでに今の時期からついています。
準備がいいですね。
参考 「樹に咲く花 離弁花①」(茂木ら,2000)山と渓谷社


2022/6/8
★ヘビを大切に

正門守衛所で、「そこにヘビがいる」と教えてもらいました。
見ると、近くの植込みにアオダイショウがいました。
アオダイショウ



ヘビの目は、丸くて大きくて、かわいらしいですね。
ヘビは、しばしば危険な動物とされますが、
本州で気をつけなければいけないのは、マムシだけです。
マムシには、太短く、背面に特徴的な
銭形模様がありますので、この模様を覚えましょう。
マムシも積極的に襲いかかることはありません。
そっとしておくと、自分から逃げます。
藪を歩くときには、うっかり踏んでしまわない様、
気をつけましょう。

マムシ

マムシ


アオダイショウは、無害なヘビですが、
つかむと嫌な臭いが手に残ります。
最近、野外でヘビをみることが
非常に少なくなりました。
見つけてもいじめたりせず、
そっとしておいてあげましょう。

博物館のアオダイショウ
アオダイショウ


2022/6/1
★二つのツメクサ

最近博物館前にツメクサが咲いています。
え、どこ?って感じですね。
ツメクサ

足元のタイルの目地から生えている
コケの様な植物がツメクサ(爪草)です。
ツメクサ

写真、かなり拡大しています。
ツメクサ

細長く反り返った葉が、
爪切りで切った後の爪の形に
似ることが名の由来です。
藤沢市の海岸近くでは、
本種に似たハマツメクサが生育します。
どちらもよく似るのですが、1ミリにも満たない
小さな種子の形態が違うそうです。
是非、探してみましょう。

「つめくさ」という名では、
四つ葉のクローバー探しの
シロツメクサが有名です。
こちらは白詰め草です。
ツメクサ

江戸時代にオランダから送られた
ガラス器の梱包の際、
乾燥したシロツメクサが
詰められたことが名の由来です。


musium