神奈川県では、鳥類に関する天然記念物が2件あり、一つは三浦市にある「城ヶ島のウミウ,
ヒメウ及びクロサギの生息地」、もう一つが「大磯照ヶ崎のアオバト集団飛来地」です。
アオバトは本来、丹沢など山地の森林に生息しますが、大磯町の照ヶ崎では海岸に集団で飛来し
海水を飲むことが知られていました。この習性は、全国でも限られた地域でしか見られないため、
神奈川県の天然記念物にとなりました。この指定にあたっては、地元のアオバト観察研究グループ
「こまたん」による長年にわたり積み重ねた研究データが、大きく貢献しました。
アオバトは、ミネラルを摂取するために海水を飲むといわれていますが、神奈川県では照ヶ崎以外
の海岸でも時々見られます。鎌倉市の稲村ヶ崎では、年に何回か観察できます。

稲村ヶ崎のテラス状にのびた岩礁は、国の史跡のため人の立ち入りができないため、警戒心の強い
アオバトにとっても降りやすいかも知れません。岩礁の背後にはクロマツ高木が生育し、アオバト
もしばしばとまりますが、緑色の羽毛のため、いつも樹木にとまった瞬間に見失ってしまいます。
博物館のアオバト標本は、「こまたん」の方が遺体を提供して下さったものです。
大学内でアオバトは稀ですが、羽毛を拾ったことがあります(2017年11月18日)。
博物館1階アオバト・コーナーの左奥側に飛んでいて翼上面の一部に赤葡萄酒色の大きな斑がある個体がアオバト雄、斑紋なく水を飲んでいる姿勢が雌です。右奥側で飛んでいるのはキジバト、手前のモニターでは照ヶ崎でのアオバト飛来の様子を映写しています。

参考文献 「アオバトのふしぎ」(こまたん,2004)HSK
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