5月17日から18日にかけて、湘南地方では強い南風が吹き続けました。
鎌倉の七里ヶ浜では、本種が岸近くを猛スピードで飛んでいました。
本種の翼は、幅が狭く遠くから見ると鎌の様に見えます。
ハシボソミズナギドリは、南半球のオーストラリア南東部,タスマニア周辺で繁殖し、
夏季をオホーツク海やベーリング海などの北方の海域で暮らす海鳥です。
このため、鳥類の中でも最も長距離の渡りをする種の一つで、その距離は片道1万2千kmもあります。
タスマニアの繁殖地では、つがいは1羽の雛を84日間かけて(抱卵は別に53日)手厚く育てます。
この育雛期間終了後の4月初旬、成鳥は北国へ向けて旅立ちますが、
この時に雛の成長が悪くても、給餌期間の延長はないそうです。
若鳥は成鳥に遅れ4月下旬に北国へ旅立ちます。
最終目的地は、餌の豊富な北方の海域ですが、
渡りの途中で衰弱したり死んでしまう若鳥が日本各地の海岸でみられます。
5月18日、逗子海岸や由比ヶ浜では大量の若鳥の遺体と数羽の弱った個体がみられました。
ハシボソミズナギドリ(まぶたを閉じている)

由比ヶ浜の滑川河口付近にて衰弱したハシボソミズナギドリ

博物館のハシボソミズナギドリ

参考文献
・(岡,1996)日本動物大百科3巻鳥類Ⅰ,P.22.「ハシボソミズナギドリ」平凡社
・(岡,1991)週刊朝日百科「動物たちの地球」鳥類Ⅰ①,P.23-25.「太平洋を北へ南へと渡るハシボソミズナギドリ」朝日新聞社
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