2024/2/28 ウミウの白ポケット

博物館だより

1月下旬頃からちらほら、一部のウミウの成鳥に一時期だけの羽毛がみられはじめます。
ウミウの肢の基部に大きなポケットの様な白い長方形の斑を形成する羽毛、頭頂部から首にかけて白く細長い白髪の様な羽毛です。
これらは、生殖羽ともよばれる繁殖活動にかかわる羽毛です。

しかし、北国の繁殖地での子育てをする時期には、すっかり無くなっているため、つがいを形成する時期に使われる羽毛だと考えられます。
またこの時期に、眼の下や口の後ろ、人の顔で頬に相当する付近が、白地にそばかすの様な柄や、逆に黒ずんだ様な柄になります。
また、嘴に縞の様な模様が目立ち、嘴基部の裸出した皮膚が黄色から橙色に変化します。

白地にそばかすの個体

顔全体が黒ずむ個体

野外での観察では、この部位の羽毛がどうなっているかわかりませんが、博物館の標本ならば詳しく観察できます。博物館には、成鳥の剥製で黒ずむ個体がありますので観察をしてみました。

白髪の様な羽毛を拡大すると、糸状ではなく、一本の軸(羽軸)と枝分かれ(羽枝)がみられます。ポケットの様な羽毛は、大きくフワフワとした羽毛で、黒い羽毛の間から出ていて、黒の地の部分を覆っています。これらは、この部分が生え変わるのではなく、もとの羽毛を後から生えた白い羽毛が覆っています。

ウミウの後頭部から首付近の白い羽毛

ウミウ大腿部付近の白い斑

次に顔の黒ずむ個体の顔の部分ですが、白い羽毛の先端部分が黒くなっています。
これらの羽毛が生え替わったものか、後から加わったものなのかは、わかりません。

ウミウの顔が黒ずんだ個体の顔の羽毛

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