「りゅうのひげ」はジャノヒゲの別名です。
収蔵庫で、今年の干支にちなむものを探して
いたら、古いジャノヒゲ標本に出会いました。
80年以上前の標本
なんと昭和17年の六会(本学部がある)標本
と昭和16年の神武寺(逗子市)標本です。
どちらも80年以上前のものですが、
状態よく、美しい標本です。
六会標本(昭和17年)

神武寺標本(昭和16年)

引き継いでいくもの
昭和16年の方の採集者名は、日大園藝薬草科と
あります。昭和16年は、戦時下です。
また本学部の前身である農獣医学部
(昭和27年~)以前のものでもあります。
ジャノヒゲ自体珍しい植物でありませんが、
当時の方が何らかの残す意義を感じ、
作製されたものでしょう。
戦争の最中に標本を作製した方や
残された方々のことを思うと、標本を管理する
責任の重大さを実感致します。
ジャノヒゲは元来ユリ科に分類されていましたが、
近年の植物分類の見直しにより、
クサスギカズラ科(ASPARAGACEAE)に
分類し直されました。
冬に林の中を歩くと、つやのある紺色で
小さな丸い実が地面に落ちていることがあります。
それはきっとジャノヒゲの実です。
参考文献
改定新版「日本の野生植物」(大橋ら,2015)平凡社
神奈川県植物誌2018電子版(神奈川県植物誌調査会,2018)
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