多くの誤解!?
皆さんは、野生動物の研究にどういうイメージを持っているでしょうか?オープンキャンパスなどでの経験を踏まえると、ある種のステレオタイプがあるように感じます。例えば、以下のようなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?
- 双眼鏡とフィールドノートを片手に野外を駆け回り、野生動物の行動を観察してデータを集める
- 研究者ごとに専門とする動物種が決まっていて、その対象をこよなく愛している
- 調査を続けるうちに、動物たちと顔なじみになり、よく観察できる個体に名前を付けて、場合によっては生涯にわたってその個体と向き合っている
- 減りゆく野生動物の保護をするために、密猟をする人たちと闘っている
もちろん、これらがすべて当てはまる研究者もいないわけではありません。しかし、大半の「野生動物の研究者」は、この多くに該当しません。 一般のイメージは、研究者というよりむしろ、動物カメラマンに近い気がします。
もしあなたが、上に書いたようなイメージで「大学に入って野生動物の研究をしたい!」と思っているならば、 実際に行われていることとイメージに大きなギャップを感じる可能性が高いです。 以下では、そうした「ミスマッチ」を防ぐために、私の研究の興味・関心について正直に書いていこうと思います。 受験生の方は、進学先を選択する際の参考にしてもらえると嬉しいです。
私の興味・関心
私自身の興味・関心は、一応「群集生態学」という学問領域にあると思っています。群集生態学とは、特定の生物種の生き様(「種生態」と言ったりします)を詳しく知るというよりも、 生き物同士の関係性を明らかにすることに重点があります。 例えば、植物は自分では動けないので、秋が来ると赤い実をつけて鳥や獣たちに食べてもらってタネを森にばらまいて子孫を残します。それが何年も積み重なってできたのが、 私たちが目にする森なのです。つまり、目の前の生態系が今のような状態にあるのは、それを構成する無数の生き物たちが食べたり食べられたり、喧嘩したり、 時には協力したりした結果なのです。

このように考えると、目の前の生態系がなぜこのような状態になっているのか?という疑問が湧いてきます。 そういう「生態系が形作られる仕組み*」を紐解くことが「群集生態学」と呼ばれる分野の最終目標です。 「オオカミが好きで彼らの暮らしについて知りたい」とか、「フクロウが夜何をしているか知りたい」とか、 特定の種の暮らしぶりに注目するのとは(似てはいますが)力点が微妙に違っているのが分かると思います。 例えばフクロウに注目するならば、「彼らの夜間の捕食行動は、獲物となるネズミの生息地利用にどういう関係を与えていて、 ネズミが食べるドングリの生存率にどうかかわっているのか」といったことが問いになるわけです。 極端な話、「生態系が形作られるうえで、生物〇と生物△のこういう関係性×が重要である」ことを知りたいので、 研究者によっては、〇や△に入る生物種は何でもいい、という人もたくさんいます。むしろ、優れた研究者ほど、自分の関心に最適な「材料」を選択する人が多いです。
私自身も現在では中大型哺乳類を対象にしていますが、哺乳類に対するこだわりが強かったわけではありません。むしろ生き物としては鳥類のほうが好きだし、 他の動物も哺乳類と同じくらいには興味があります。そして、何か特定の動物種が「滅茶苦茶好き」というのもありません。 もちろん、嫌々哺乳類の研究をやっているわけではありません。 哺乳類を対象にしていると、自分の研究の興味・関心自体が変わっていき、 中大型哺乳類の特殊性(生態系における特殊性と、研究対象としての特殊性双方)がだんだん面白いと思えるようになってくるからです。 しかし、一般のイメージの「研究者ごとに専門とする動物種や分類群が決まっていて、その対象をこよなく愛している」というのとは、必ずしも正しくないのは分かって もらえると思います。対象をはじめから「好き」なわけでもないし、そうでなければならない訳ではない、このことは自分が進路を選択する上でも覚えておいてほしいと思います。
具体的な研究上の問い
では、私の研究上の興味・関心は、具体的にどこにあるのでしょうか?
研究を始めた当初から、私は素朴に「もし大型哺乳類が絶滅してしまったとしたら、森には何か変化が起こるだろうか?」ということを疑問に思っていました。 生態学の教科書を読めば、「哺乳類は森林生態系で重要な役割を担っている」ということが書かれています。 実際、哺乳類は例えば植物の種子の分散をしたり、あるいは、植物を食べたり生態系を物理的改変したりして、生態系に何らかの影響を与えていることは事実でしょう。 しかし、そうした機能は、もしかしたら大したことはないのかもしれないし、小型の動物にも代替できるのかもしれません。
この点を明らかにすることは、生態系の今後を考えるうえでも非常に大事です。 経済発展を遂げている国々では、とくに体の大きな動物(例えば、ゾウや大型類人猿)が人間活動の影響で数を減らしています(*)。 彼らの減少や絶滅が生態系に大きな影響を与えるならば、ますます彼らの保全を早急に進める必要があります。 他の動物と比べて「はるかに体が大きい」という特徴は、自然界においては、どういう意味を持つのでしょうか?これが私の一つ目の関心です。
もう一つの関心は、大型哺乳類を「そもそも、どうやったらちゃんと研究できるの?」という点にあります。 大型哺乳類は、他の小動物と比べてもデータ取得に要する時間や労力が大きく、ごく基礎的なことを明らかにするだけで一苦労です。 中大型哺乳類は、実験室で飼うことも難しく、フィールドで直接観察する機会も限られており、 寿命も長く行動圏も広いのでよほど大規模な調査をしない限り分からないことが多いからです。 間違いなく、最も研究上の「コスパ」や「タイパ」が悪い分類群です。 同級生が順調にデータを取得していく中で、私だけはほとんどデータが取れず、悔しい思いを何度もしてきました。
幸いにも、最近の技術革新のおかげで、他の分類群に引けを取らない立派なデータが取得できるようになってきました。 とくに、自動撮影カメラの登場は、地上性哺乳類の研究に革命をもたらしました。進歩が目まぐるしいAIを援用すれば、他の分類群に引けを取らないくらい効率的なデータ取得が可能になります。 さらに、得られたデータを統計的にちゃんと分析できれば、従来の手法では得られなかった知見を得ることも可能になりつつあります。 私の関心は、「いかにこれらのツールを活用して、大型哺乳類の研究をレベルアップさせるか」というところに向かっています。
私の研究室の特徴
学生の研究テーマの制約
私の研究室では、上述の関心に従って、ある程度自由に学生に研究テーマを決めてもらっています。 とくに、卒業研究レベルでは、(大きく生態学から逸脱しない限り)何をやってもらっても構わないというのが本音ではあります。
しかし、実際のテーマの選択には(かなり強い)現実的な制約がかかります。 何より、中大型哺乳類の野外での研究は大きな危険を伴います。 私は生態学会の野外安全管理委員でもあるのですが、毎年のように、全国各地から野外調査中の重大事故(死亡事故を含む)が報告されています。 学生の安全管理も大学教員の仕事の一つです(何かあった場合に責任を追及されるのは教員だということです)。 安全が保障されない限り、調査を行わせるわけにはいきません。 また、研究を進めるためには、それにふさわしいフィールド(調査地)が必要です。 大型哺乳類を対象にする場合、現地に何日も滞在する必要が生じます。 いきなり調査地に出かけて行っても、データが取れるわけではありません。 さらに、研究する上で必要になる実験・分析手法を必ずしも研究室で行えるとは限りません。

これらの制約を考えると、現実的なのは、①研究室で長年調査を行っているフィールドで、②そこに生息する動物種(たち)をメインに据えて、 ③指導教員が指導可能な研究テーマ(研究手法を含む)に取り組むということになります。 もう一つの方法としては、自分でがっつりデータを取得するのではなく、 教員が過去に取得したデータや研究者間で共有・公開されているデータや資料(発表済み論文も含む)を分析するというやり方もあります。 これらの点は、他大学の研究室でも基本的には同じです。「他大学の知り合いの教員に学生を預ける」というやり方も、昨今の安全管理に関わる状況では難しくなってきています。 進学先を決める際には、指導教員が、どこをフィールドにしていて、そこにどんな動物が棲んでおり、どういう手法でどういうテーマで研究をしているのかについて調べておくとよいでしょう。
私の研究室におけるテーマ選択
では、私の研究室に関して、①から③に関してどのようなことが言えるでしょうか?
私の研究室では、少なくとも学部の間は(大学4年生までという意味です)、 長年調査を行っている房総半島で調査・研究に取り組むことを原則としています(①)。 研究室へ正式に入室するのが3年時なので、研究室活動は2年間しかありません(*)。 3年時は、フィールド調査の方法や安全確保、データ分析の基礎を身に着けることに割く必要があるので、 自分の研究テーマを決められるのは3年春休みから4年生前期であることがほとんどです。 そこから、自分で調査場所を見つけて研究を始めるのはほぼ不可能です。
大学院に進学することが早い段階で決まっている場合は、上述の原則通りでは必ずしもありません。 私は、アフリカの熱帯林を主なフィールドにしていた時期があり、 現在でも学生時代の後輩が大きなプロジェクトを実施しています (詳しくは、こちら)。 私の研究室で博士号を取得した元学生も研究員として現地に長期滞在しているので、彼・彼女らにサポートしながら研究を行うことも可能です。 ただし、フィールドを海外にするには、本人のモチベーションの高さだけでなく、 学部の安全管理方針、親御さんの理解・同意も必要ですので、必ず実現できるとは考えないでください。
では、房総にはどのような動物が棲んでいるのでしょうか(②)? 房総半島には、日本の代表的な中大型哺乳類のうち、ツキノワグマとカモシカはいません。 ですので、これらの動物を対象に野外でデータを集めることは困難です。 これらの種を研究したい場合は、「野外で自らデータをとる」以外の方法をとる必要があります(*)。 また、当然ですが、オオカミもいません。 数年に一度、「オオカミの研究をしたいんですけど…」という高校生と出会いますが、 残念ながら、実現困難です。
最後に、研究手法やテーマについて紹介しておきます(③)。 調査手法は、基本的には自動撮影カメラによるデータ取得を基本にしています。 先に書いた通り、自動撮影カメラは野生動物の研究に革命をもたらしました。 ちょうど世代的に私が本格的に研究を始めたころから普及が進んだので、このツールの進展とともに私の研究が進んできたという面があります。 自慢ですが、研究室にある自動撮影カメラの台数は1000台を超えており、おそらく日本最多でしょう。 これまで学生たちと一緒に取得してきた動画の本数も100万本を超えており、これはおそらく世界一です。 新しく入ってきた学生も、この膨大な基礎データを参考にして、自分で興味を持つテーマを設定してもらっています (学生が決められない場合は、こちらから候補を挙げ、選択してもらいます)。
過去の卒論・修論テーマ
いろいろと理窟を述べるよりも、具体的な研究テーマを示したほうがいいですね。以下は、学生が取り組んでいたテーマについて、学生自身がまとめてくれたものです。あ、絵を描いたのは私です(笑)!
指導方針
進学先の参考にするために、研究室での指導方針についても説明しておきます。 学生数の多い私立大学における野生動物関連の研究室運営方針には、おそらく少なくとも2つのタイプがあります。
一つは、学生の興味や関心を大事にする方針です。生き物好きの学生には、自分のこだわりのある生物種を持つ人が多いです。 例えば、ハナアブの仲間が好きだったり、ゴキブリをこよなく愛していたり、あるいは、ゴリラを見るだけでも幸せという人もいます。 そういう学生の純粋な気持ちに答えることを第一にする研究室があります。 研究としてどのレベルに達するかは学生次第になりますが、学生の興味や関心に寄り添うことが一番の教育であると考えるわけです。 せめて学生の期間くらい、自分の「好き」に従って思う存分やらせてあげるというのも立派な指導方針です。
もう一つは、教員側の専門に引き付けつつ、学生側の興味・関心と折り合いをつけながらやっていくという方針です。教員には、専門とする研究分野があり、そこでの知識や考え方を学生に身に着けてもらうことが、(もしかしたら学生の元々の興味とは違っていたとしても)最良の指導方針であるという考え方です。学生の側も、最初はそれほど興味がなかったとしても、取り組むうちに、学問の体系性や奥深さを知るようになります。教員側としても自分の専門に関連することなので、水準の高い研究を保証することができます。
私の研究室の運営方針は、基本的に後者です。先述した通り、何でも自由に研究できるわけではありません。前者の方針の意義も十分に理解はできるのですが(*)、やはり、大学は専門教育機関として、教員の専門に基づいた教育をしっかりと施すべきだと思っています。そうでないと、小学生の自由研究と本質的には変わらないものになってしまいます。とくに、野外で行う研究は、研究のデザインやその後のデータ分析、結果の解釈は、それらを十分に理解した人が指導しない限り、かなりいい加減なものになってしまいます。私は、その辺を「ちゃんとしたい人」なので、かなり綿密な指導を行います。これまでの経験だと、学生側もその大切さに徐々に気づいて、真に「科学的なものの考え方」を身に着けてくれます。それは、研究を続けなくても、「まっとうな生き方をしていく」うえで一生の宝物になるはずです。
研究室への配属
研究室の配属は、(現在のところ*)3年次です。
野生動物は、それなりに人気があるらしく、配属人数の上限(10名弱、年によって多少変動)を超えた入室希望者がいることがあります。その場合、何らかの基準で入室の可否を判断する必要が生じます (といっても、動物学科には、類似の研究?を行っている研究室が他にもあるので、大幅に超過するわけではありません)。
私は学生一人一人と面談して、学生側の興味・関心とマッチしているかどうかを確かめることにしています。 明らかにミスマッチがある場合は、はっきりそう伝えます。 他に面談時に確認する事項としては、
- 野外調査する上で最低限の安全管理能力があるか(これは話せば大体わかる)
- 研究テーマの選択に関して柔軟性があるか(○○以外は絶対に嫌とかは対応できないことがある)
- チームで野外調査を行うことに適正はあるか(天上天下唯我独尊は厳しい…)
などです。 もちろん、取得単位数が極端に少ない場合や欠席が多い場合は、面談時に事情を確認するようにしています。 また、私が行っている授業(哺乳類学・鳥類学、フィールド生態調査法、野生動物管理学など)の履修状況と成績も、ある程度参考にします。
研究室活動のスケジュール
年間スケジュール(おもにフィールド調査関係) | ||
---|---|---|
月 | 研究室全体の活動内容 | その他 |
4月 | 第1回定例調査(房総) | 新歓コンパ |
5月 | フィールド調査研修(@群馬県水上) | オープンキャンパス |
6月 | ||
7月 | 第2回定例調査(房総) | 前期試験 |
8月 | フィールド調査実習 | オープンキャンパス |
9月 | Snapshot Japan調査 | |
10月 | 第3回定例調査(房総) | |
11月 | ||
12月 | 保全生物学実習 | 忘年会 |
1月 | 第4回定例調査 | 後期試験 |
2月 | 3年生就職活動 | |
3月 | 3年生就職活動 |
卒業後の進路
研究内容と就職活動
野生動物の勉強をして、将来大丈夫かと不安になる親御さんも多いようです。 まず前提として、今の高度な世の中だと分野によらず、学部4年間で学んだ知識だけで専門職に就くことはほとんど不可能です。 とくに野生動物に関連する業界は市場規模も大きいわけでなく、大学院まで進んでより高度な知識を身に着けない限り、 その専門家として食べていくのは困難です。 しかし、学部卒レベルの就職活動の面接で問われるのは、学部時代にどういう分野の勉強をしてきたかではなく、 論理的な思考やコミュニケーションができるかにあります。 その点では、野生動物の研究の経験を持つことは確実に有利だと断言できます。
大型哺乳類の研究は、正直に言って滅茶苦茶大変です。フィールドでは、現地の人たちと良好な関係を築く必要があり、一人で取得できるデータは限られているので、仲間と緊密な協力ができなければなりません。当然、フィールドワークは、充実した体力が不可欠である。データを取得した後は、(とくに自動撮影カメラを使うと膨大なデータが取得できるので)パソコンを駆使した作業が必要です。特に私の研究室では、コンピュータ言語を用いたプログラミングを日常的に利用するので、そのための知識も身に付きます。さらに、データを分析するには、統計学的なものの捉え方も不可欠になります。野生動物の研究プロセスには、現実社会で働く上で必要となる、ありとあらゆる知識や経験がてんこ盛りに詰まっているのです。もちろん、大学を「就職予備校」とみなすならば話は別ですが、そうでない場合は、野生動物研究が不利になる側面は一切ないと思います。
具体的な学生の進路
学生の就職先は非常に多様です。野生動物の研究と関係のない業界への就職も多いです。例えば、私の研究室では、研究のデザインやその後のデータ分析、結果の解釈について重点的に指導しています。また深層学習技術や統計モデリングについても最新の知見を踏まえて研究に利用しています(これらを研究で利用するかは学生によります)。そのため、在学中にこれらに興味を深め、卒業後は、システムエンジニアやデータサイエンティストになる学生が結構います。「大学時代に学んだことの延長で業務ができている」という卒業生の話も聞きます。
野生動物に関わる仕事としては、民間のコンサルティング会社が有力な就職先です。とくに野生動物の業界では、データの統計学的な分析を身に着けられる研究室は非常に希少なので、私の研究室の卒業生は重宝されています。
公務員になる人も多いです。環境省総合職に合格し、レンジャーとして活躍している卒業生もいます。また、林野庁一般職や都道府県の林業職に就職する人が多いです(伝統的に野生鳥獣による被害は、林業関係の部署で扱われることが多いため)。
誤解は解けた?
ここまで、私個人や研究室について紹介してきました。皆さんがもっている野生動物の研究のイメージと一致していたでしょうか? 一致していたなら、ぜひ進学先の一つとして検討してください。違っていたら、どこが違うのかをよく考えてみるといいと思います。以下念のため確認です。
- 双眼鏡とフィールドノートを片手に野外を駆け回り、野生動物の行動を観察してデータを集める
- 研究者ごとに専門とする動物種が決まっていて、その対象をこよなく愛している
- 調査を続けるうちに、動物たちと顔なじみになり、よく観察できる個体に名前を付けて、場合によっては生涯にわたってその個体と向き合っている
- 減りゆく野生動物の保護をするために、密猟をする人たちと闘っている
今の時代にこの研究スタイルは中々通用しません。私も目視による直接観察ではなく、自動撮影カメラの映像を通した観察が中心です。
「好きであること」と「研究すること」は必ずしも同じではありません。
特定の種の生活史が一番の関心であれば、このようなスタイルで研究するのも一つの方法です。私自身の興味は少し違ったところにあるのは上に書いた通りです。
この点については、詳しく書きませんでしたが、研究者自身が密猟者を取り締まることはできません。 また、「密猟」と片づけられる行為も、実際は「現地住民にとっては昔からの普通の暮らしをしているだけ」ということもしばしばです。 研究者は、地域の実態に応じて、人間と野生動物の共存のために知恵を絞ります。勧善懲悪的な構図は想定しない方がいいです。 私もかかわっているアフリカでの研究プロジェクトは、まさにこの点をテーマにしています (詳しくは、こちら)。 。
私自身は、もう少し科学的に、「野生動物が減ることで生態系に何が起こるのか」を純粋に調べることに興味があります。 それ自体は、野生動物を保護することにつながるわけではありませんが、その知見が将来活かされる可能性は高いです。 「野生動物の保全」には多様な側面があり、もし興味があるならば、どういう関わり方をしたいのかを考えてほしいです (ブログに書いた文章も参考にしてください)。