Penicillium属糸状菌によるMonascus色素の生産
Penicillium属糸状菌によるMonascus色素の生産
私たちは、微生物が作る色素について研究しています。微生物が作る色素は食品の着色料として利用され、植物や昆虫から作られる色素と同じように天然から得られる色素として注目されています。
古来より微生物が作る色素は、食品の着色料として東アジアで使われており、現在でも食品の赤色系着色料や漢方薬として利用されています。
現在、食品着色料として使用の認められている微生物が作る色素は、Monascus属菌が作るMonascus色素に限られます。Monascus色素は最近の研究で、抗菌、抗癌、抗酸化などの生理活性があることが明らかにされ始め、改めて注目されています。
しかし、Monascus属菌は色素を作る時と同時にcitrininという腎臓に悪影響を及ぼす毒を作ることが報告されています。そのため欧米では食品着色料としての利用が禁止されています。
私たちが研究している糸状菌、 Penicillium purpurogenumは特定の培地で培養すると、Monascus色素と構造が似ている色素を作ります。そしてMonascus属において問題とされているcitrininの生産も報告されておらず、利用、応用に期待されています。またP. purpurogenumは赤色、紫色、オレンジ色、黄色と作る色素のバリエーションも多いことが分かりました。
私たちはP. purpurogenumにおいて、遺伝子やタンパク質、また色素の構造というように、様々な角度からP. purpurogenumの色素生合成について解明することを目指しています。