「フィールドワーク」から「ラボリサーチ」まで
「森林分野」と「木材分野」を1つの学科で学べる大学は意外と少ない!フィールド系から実験系まで,入学してからも幅広い分野を学ぶことができます。理解を深めてから自分に合った研究テーマを探すことができます。
[森林資源科学科はこんなトコ]
森林は人類の生存にとって不可欠な自然環境を提供してくれる存在であり,地球上で最も現存量の多い生物資源でもあります。 この森林環境や森林資源に関する課題についてグローバルな視点で理解できる能力を身につけ, 持続可能な森林環境や社会の実現に貢献できる人材の育成を目指しています。そのためには,木材の生産だけではなく森林で生産されるバイオマス資源の有効利用や自然環境の保全, 土砂災害などを防ぐ国土保全などの多様な森林の機能を巧みに取り扱い,それらの機能を持続的に発揮させる知識について学習します。
※ホームページの情報は, コロナ禍以前の実習・講義風景を含みます.
現在, コロナ感染対策を充分に行った上で, 実習・実験・講義を実施しています.
多様な生物と土・水などで構成されている森林の仕組みや,森林を造り,守り,育み,人々の暮らしに活用する方法など,広い分野の問題を取り扱うことから,4 つの分野に大きく分けて体系的に学んでいきます。
森林関連の学科が独立して設置されている大学は,国公立大学で28大学,私立ではわずか2大学です。 日本大学 森林資源科学科の最大の特徴は,1つの学科の中で,「森林科学に関する内容を幅広く学ぶ」ことができます。
地球上にはさまざまな自然環境があり,それぞれの環境に多種多様な生物が生息し,豊かな生態系をつくりあげています。長い進化の歴史の中で, 生物は他の生物と複雑な相互作用をくり返しながら,その生息環境に適応してきました。 そして,豊かな生物相,すなわち生物多様性を作り上げてきたのです。森林生態系とそこに生息する生物を保全し, その恵みを将来にわたって人間の生活に活かしていくためには,そこに棲む生物相に関する生物学的な理解と応用が不可欠です。 フィールド調査から得られたデータを解析して森林生態系の多様性や持続可能性を理解し,それらの知識をどのように森林環境保全に応用していけばよいかを考えます。
森林は全陸地面積の30%,日本の国土面積の67%を占め,私たちの生活にとって不可欠な自然環境をつくりだす重要な役割を果たしています。 森林生態系を健全な状態で維持することは,今世紀の最大の課題といえます。 森林圏環境システム学分野では,水源涵養や土砂災害防止,温暖化防止,木材生産などの森林の機能を科学的に解明し, 将来にわたって森林生態系を適切に管理・利用するための技術の開発や,今後の森林環境保全のあり方を明らかにする研究を行っています。 研究の対象は,身近な都市近郊の林から,山地の森林,乾燥地帯の森林や熱帯雨林まで様々です。
持続的な森林経営を進めるためには,各地域における長期的な視点に立った森づくりのマスタープランを作成し, その実行にむけて指導できる技術者が必要です。また,持続的な森林経営を実現した上で,林業の採算性を回復するためには, 専門的かつ高度な知識や技術を有する技術者・技能者の育成が必要です。持続可能な森林経営・利用分野では,低炭素社会を実現するための課題と, 森林における生物多様性の保全の考え方を理解して森林資源の管理・生産に携わることのできる技術者・技能者の育成を目指します。
21世紀は,限りある化石資源に依存する社会から脱却し,森林から生み出される資源をうまく活用する時代です。 森林で育った木材をもとに建築や家具などをつくりだし,またバイオエタノールや木材ガスなどのバイオマスエネルギーを取り出すことによって, 地球の生態系と調和した科学技術にもとづいた豊かな暮らしを実現することが私たちの課題です。そのために,生物材料としての木材の特質や長所を熟知し, 木材を生かした家づくり・ものづくりを総合的に把握できることを目標としています。 また,森林バイオマス由来のエネルギーの生産や,森林資源をもとにつくり出すさまざまな機能性材料の生産などの新しい科学技術と産業を担う人材の育成を目指します。
※赤字は実験・実習科目
1・2年生 | 3・4年生 | |
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必 修 科 目 |
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選 択 科 目 |
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対象は「森林」や「木材」ですが,その切り口は様々です。「森林」や「木材」に皆さんの知っている学びのキーワードを掛け合わせると… 「森林資源科学」が見えてきます。
1 年生では,「森林科学入門」としての実習,2 年生以降は,専門性の高い実習が開講されます。実習では,各地にある演習林を活用します。講義で学び,実習で実践することで,理解を深めることができます。
八雲演習林・長万部演習林[北海道]
水上演習林[群馬県]
藤沢演習林[神奈川県]
君津演習林[千葉県]
八雲演習林・長万部演習林
[北海道]
水上演習林
[群馬県]
藤沢演習林
[神奈川県]
君津演習林
[千葉県]
温帯から亜寒帯への移行帯で,ヤチダモ,ハルニレ,ブナ,ミズナラ,シナノキ,カンバなどの天然広葉樹が混生しています。八雲演習林は約2400ha と山手線内側の半分に相当する広さです。八雲演習林の保安林以外の林地と長万部演習林ではトドマツが造林されており,森林生態系や造林,林業経営などの教育,研究等に最適の場所となっています。
冷温帯に位置する面積約150ha の演習林で,ブナ,ナラ,シデ,カンバなどを主体とした50~60 年生の二次林で構成されています。林内には,降雪・雨量・風力観測点や動物の定点観測機などが設置されており造林学や森林計測学等の実習ならびにブナの造林,野ネズミの調査・研究等で通年的に利用されています。
湘南キャンパスと隣接した約5ha の平地林で,クヌギ,コナラ,シラカシ,アラカシその他の広葉樹で構成されています。また,スギ,ヒノキ,サワラが小規模に点在しています。付帯施設として見本園および苗畑,シイタケ生産施設があります。
下ノ原地区(約10ha)と小坂沢地区(約22ha)に分かれています。下ノ原地区は総面積の約50% がスギ・ヒノキの人工造林地です。教材として竹林およびコナラ・クヌギのシイタケ原木林を残し,天然林はカシ類を主とする照葉樹林で構成されています。小坂沢地区では一部にスギ・ヒノキの人工造林が行われました。天然林はカシ・ナラなどの広葉樹で構成され,峰筋にモミがみられます。
1年生の必修科目で実習の「入門」です。少人数グループで異なる専門分野の教員とともに多様なフィールドに出かけ,森林の実態を観察し,レポートにまとめます。この実習を通じて本学科の扱う学問領域の広さを知り,さらに身近な森林が抱える問題について理解を深め学んでいきます。テーマは次にあげるような4 つの分野に分かれています。これらの中から実習テーマを3 つ選択して受講します。これら毎週の実習以外に,2 泊3 日の学外研修(軽井沢野外実習)があります。
本学科では,この森林資源科学実習以外にさまざまな実習・演習・実験が開講され,フィールドから学ぶ機会が得られます。
軽井沢野外実習は,1年次の森林資源科学実習の一環として実施される2泊3日の実習です。毎年,6 月初旬~中旬に実施されます。宿泊場所は日本大学の軽井沢研修所で,約300 名が宿泊することができます。ここに全1 年生,教員,実習補助の学生が宿泊し,自然豊かな軽井沢の森林を通じて,野外調査や樹木観察の基礎を学び,体験します。
実習を通じて樹木観察を行います。先生や先輩たちが樹木観察の基礎,樹種の同定の仕方を丁寧に教えてくれます。軽井沢は夏緑広葉樹林帯に属し,ミズナラ,シラカンバ,トチノキ,イタヤカエデなどが見られます。また,カラマツの植林地も多く見られます。
2日目の午後は,専門分野別に実施されるテーマとして,調査や計測の基本を学び,体験します。先輩が親身になって教えてくれます。
実習最終日は,この実習で学んだ樹種名のテストを行います。葉の付き方や形の特徴を覚えて,一人ずつテストに挑みます。合格するまで何度でも挑戦します。