食ビの人々

若林 素子 教授 Motoko Wakabayashi 担当科目:食と素材、調理学実習、食物学実験

自分の手で新たな事実を発見する喜び

現在の研究内容について、わかりやすく教えてください。

食品の香りの成分が、食品の中でどのように出来上がってくるのか、またそれらの成分の構造と香りの特性に関係があるかどうかなどを調べています。また、食べ物の「おいしさ」とは何かを、香りを含めた成分などの分析と、人の感覚を用いた官能評価を組み合わせることにより科学的に明らかにすることに取り組んでいます。

現在の研究領域に興味を持ったきっかけは何ですか。

高校時代に生物と化学が好きだったので、生化学に関わる進路をいろいろ調べました。医学・薬学・理学などを見ていく中で、「食物学」を発見しました。全ての人々にとって「食べる」ことは一生関わり続ける重要性があると思い、食物学科を選択しました。卒論と修論では「栄養化学」を専攻していたのですが、研究が進むに従い、化合物を正しく理解する必要性を感じ、食品有機化学を専門とされている教授の「食品化学」に移りました。その研究室の伝統的な研究テーマが今に繋がっています。

研究の成果をどのように社会に活かしていきたいですか。

食べものの香りは、食べ物を口に入れなくても感じることができます。よい香りには「食べよう」「食べたい」と思わせる力があります。食べ物がおいしく食べられることが、人が生きる力にもなると考えています。香りの新しい知見や、おいしさを科学的に解明することが、必ずしも健康ではない方も含めた多くの人々のよりよい食生活につながることを期待しています。

研究のやりがいや面白さを感じるのはどんな時ですか。

実験研究は自分の頭と体をフルに活用し、うまくいけば、まだ世の中に発表されていない、自分だけが知っている事実を明らかにすることができます。その瞬間の喜びは非常に大きく、面白いと感じます。それが確実な事実であるかどうかをまた時間をかけて確認し、結果をまとめて論文発表などができた時は大きなやりがいを感じます。

反対に、研究で苦労する点、努力する点はどのようなことですか。

実験研究は発表できるような結果が出るまでに非常に長い時間がかかることが多いです。時には長時間取り組んだものの期待した結果が得られなかったり、競争していたグループに先を越されて発表できなくなってしまったりすることもあります。人の感覚でおいしさを調べる官能評価は、個人差が大きく予想した結果が得られないことも多く、簡単ではないと感じています。

これから同じ専門領域を研究する学生に何を期待しますか。

食と食に関わる事柄に関して、幅広い興味を持つことを期待します。対象が食べ物そのものならば、まずは匂いを嗅いでみる、味わってみるというような、体験を重ねてください。興味を持ったことに関しては、自分の力で調べてみましょう。興味のアンテナをはり、少しずつでも確実な知識を増やしていくことが、新たな問題の発見や研究の糸口になると考えます。

食品ビジネス学科を目指す学生へメッセージをお願いします。

食品ビジネス学科には、私のような理系教員もいますが、文系の先生方がたくさんいます。各教員の専門がバラエティに富んでいるので、学生さん達は食料資源や環境、食品産業さらには食文化や食品科学に関して、とても幅広く学ぶことができます。入学した皆さん方は、我々教員から学び取る権利があります。学科での4年間の学びを通し、是非食をプロデュースする人材に育っていってください!

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