企業の第一線で
サプライチェーンマネジメントの
新しい可能性を追求し続ける。

株式会社菱食 戦略機能部門統括部長 ST部門本部長

小野田 六郎(1974年度卒業)

【業種】
卸・小売業

これまでの歩みについてお聞かせください

私が在学していたちょうどその頃、日本政府が米の統制を廃止して消費経済が大きく変革しました。3年の時、農村実態調査を通して農作物の生産実態や消費経済の実態を調査したこともあり、卒論のテーマとして選んだのは「自主流通米の流通制度」。2年間伊勢丹でアルバイトをして、自主流通米のブランド構成や消費の実態、価格帯の構成などを調査し、卒論を仕上げたことは良い思い出です。就職した菱食は問屋ですが、米の流通について学んできたので「卸売業」ではなく「流通」という概念で入社しました。配属された商品管理課は、いわば流通の原点ともいえる部署。当時はコンピュータが普及していなかったので、倉庫で棚卸の時は、朝4時頃に家を出て、帰りは連日11時というつらい生活もありました。米国の大手流通業がコンピュータを活用した物流をしている実状を把握し、当時の経営トップがコンピュータ導入を決断。コンピュータを使った情報管理システムが普及し始めた時代から、当社はその分野に投資し、今日、サプライチェーンの中心的役割を担うフルライン食品流通システムを構築しています。

現在の仕事内容は?

入社当時から流通に関わってきましたが、当社ではそれをさらに拡充するためにIT機能とロジスティクス機能を駆使した戦略機能部門を新設。現在は戦略機能部門の統括部長とST部門の本部長を兼任しています。戦略機能部門は、メーカーや小売業の物流機能窓口となる部署。ITとロジスティクスによるサプライチェーンマネジメントを構築することにより、マーケットの中にいかに効率的な中間流通を作るかということが仕事の大きなテーマです。今、RFIDが話題になっていますが、RFIDを使って食の安全や資源の効率化コントロールなどの情報を集約一元化した流通機能のしくみを作り、どう活用するか仕掛けるのも我々の仕事。わかりやすく言うと、物を売るだけでなく、売ることによって見えてくるさまざまな情報をどのように切り刻んだり、加工したり、おもしろくするかということですね。今、私が手がけている仕事は、「こういうシステムを作りたい」と20年ほど前に自分で提案して作り上げたもの。入社当時はそれほどおもしろくなかった仕事も、自分で提案し、作り上げることによってどんどんおもしろくなってくる。現在は、ITを活用した発注や納品の仕方を効率化し、倉庫の数を減らすことで物流車輌削減等、エネルギーを減らす方法を仕掛けているところです。

これから就職活動を開始する後輩たちにアドバイスをお願いします

当社でも、優秀な社員が1、2年で辞めるケースが多々あります。私がそういう人たちに言いたいのは、だったら来るなということです。その人を入社させるために落ちる学生が80人も90人もいる。しかも、我々は退職する人のために1年も2年も無駄に時間を費やすことになる。会社というのは仲間になった以上、とことん面倒を見るはずですから、皆さんが就職して辞めたいと思っても、会社の仲間や大学時代の先生、家族、友達などまわりの人にぜひ相談してください。私も悩んだ時、大学の恩師に相談することでふっと気持ちがラクになり、また頑張ろうと思ったことが何度もあります。仕事は一人でできるものではありません。会社の仲間や取引先の人など力になってくれる人がいて、初めて成り立ちます。もし皆さんが就職して壁に突き当たっても、力になってくれる人たちが大勢いることを忘れずに、それを乗り越えてほしいと願っています。

(取材・撮影:2008年11月1日)

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