ここは、生物資源科学部が全国各地に設置している演習林のひとつ、群馬県みなかみ町の水上演習林。

上越国境に聳える谷川岳の東・高平山の山腹に位置し、豊かな落葉広葉樹林に覆われた森林も、冬季には2mを超える積雪の下に沈んでしまいます。そして待望の初春。

ようやく雪解けの始まった水上演習林を訪れたのは、地球上の水循環を対象とした科学・水文学の研究者である瀧澤英紀准教授。森林環境保全学研究室の学生とともに渓流を歩き、雪解け水の水量や水質の変化などをチェックします。
瀧澤准教授らがここで調べているのは、山の上流部における水の流れや、水質の浄化機能について。渓流を流れる湧き水などは透明度が高く、一見とても清浄そうに見えます。

しかし実際に分析すると、窒素分が多く含まれている場合も少なくないのだそうです。「それが、山や森や湿地の作用などによって浄化されたり、また一度に多量に流出することもあります。積雪や融雪の水循環が窒素の移動に大きく関与する、その過程やメカニズムを探っていくことも、私たちの研究のテーマになります」こうしたフィールドワークを瀧澤准教授は、『山と森の健康診断』と表現していました。自然の息吹に触れる魅力的な学び。この水上の地で待っています。

地球環境問題や資源問題が注目されている今、森林を扱う研究の重要性が高まっています。森林資源科学科は、森林をより良く利用しながら守っていくことをテーマに、豊富な野外活動を交えた実践的な教育、研究を進めています。