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                            |  |  | 山崎 眞狩 |  |  
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                                  | 東京大学大学院化学系研究科博士課程修了 |   
                                  | 1965年 3月 | 東京大学大学院化学系研究科農芸化学専門課程博士課程修了 |   
                                  | 1965年 4月 | 東京大学農学部助手 |   
                                  | 1970年 1月 | 東京大学農学部助教授 |   
                                  | 1985年 6月 | 東京大学農学部教授 |   
                                  | 1996年 10月 | 日本大学生物資源科学部教授 |   
                                  | 受賞 |   
                                  | 1995年11月 | 有馬啓記念バイオインダストリー協会賞 |   
                                  | 1996年4月 | 日本農学賞 |   
                                  | 2000年4月 | 紫綬褒章 |  |  |   
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| 食品加工産業において殺菌と言う過程は極めて重要であるということは云うまでも無い。多くは加熱殺菌に頼っているが非加熱殺菌を要する食品も多く存在する。我々は従来、@非加熱殺菌法の1つ高圧殺菌の殺菌機構、A同じく非加熱殺菌法の1つ高圧二酸化炭素殺菌の殺菌機構、B高圧二酸化炭素処理による耐熱性胞子の殺菌、C加熱殺菌におけるテーリング、について研究を進めてきた。@高圧殺菌においては細胞骨格に最も顕著な影響が現れることを明らかにした。A高圧二酸化炭素殺菌においては菌体内に侵入した二酸化炭素による細胞質の酸性化ひいては細胞質タンパク質の変性が殺菌の本質であることを明らかにした。Bまた高圧二酸化炭素による細菌胞子の殺菌では高圧二酸化炭素によりバチルス属胞子が発芽することを見出した。胞子は発芽すれば耐熱性を失う。C加熱殺菌におけるテーリング現象の原因としては、i) 微生物の耐熱応答、ii) 凝集塊の形成、iii) バイオフィルムの形成、などである。このうちバイオフィルムの問題は以下に述べるように食品加工産業において特に重大であると考え本格的な研究を始めた。 
 
 バイオフィルムとは固体〜液体界面に形成された微生物によるフィルム状構造体である。近年、食品の微生物による汚染源として、食品製造設備表面に形成されたバイオフィルムの関与が強く指摘されるようになってきた。これは、バイオフィルムが抗生物質や洗浄・殺菌などの処理に対して高い耐性を有することに起因している。その原因としては、それらが菌体外多糖等や食品由来の成分に保護されているためであると考えられる。これらバイオフィルムの形成は殺菌不良すなわちテーリング現象発生の原因になりうる。従って、食品製造設備表面におけるバイオフィルム形成制御は重要な課題である。実際の食品製造環境における微生物叢を考えた場合、その多くは複合系で存在している。そこで複合微生物系におけるバイオフィルム形成に焦点を当てて研究を行った。
 
 
 複合微生物系バイオフィルム形成機構解明に関しては、食中毒菌を含む43種類の食品関連微生物の2種ずつの複合培養系におけるバイオフィルム形成について検討を行った(図1、図中の番号は微生物の種類に対応)。その結果、全903通り中30.6%の組み合わせにてバイオフィルム形成量が増加した(図1の赤色枠)、9.7%はバイオフィルム形成量が減少した。このことから複合微生物系においては、バイオフィルム形成量は増加する傾向にあることが明らかになった(Furukawa et al., Proc. ASM Biofilm Conf., p.93, 2003.)。複合微生物系においてバイオフィルム形成量が増加した組み合わせには、酵母と乳酸菌の組み合わせが含まれていた。また、両菌種は単独系では殆どバイオフィルムを形成しなかったが、ある特定の菌種が共存する場合にのみバイオフィルムの形成が顕著になることを見出した。特に、Saccharomyces cerevisae 協会10号とLactobacillus casei subsp. rhamnosusの組み合わせにおいては(図2、3、4)、乳酸菌の培養上清を添加することにより酵母のバイオフィルム形成が促進されること(図3、4)、培養上清は加熱処理によりバイオフィルム形成促進活性を失うこと(図4)、さらに乳酸菌との複合系及び乳酸菌培養上清中でバイオフィルムを形成した酵母の細胞表層に変化が生じていること(図2)を見出した。現在、培養上清中のバイオフィルム形成促進因子の同定を行っている。
 
 
 またバイオフィルムを形成している大腸菌は通常の液体培養した大腸菌と較べてどのような遺伝子群の発現が亢進または抑制されているのかをDNAマイクロアレイ法で調べている。このような基礎的な研究がバイオフィルムの制御には欠かせないと考えている。更には単独系及び複合系バイオフィルムの効率的殺菌法にも挑戦したい。
 
 
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                                        | 図1 2菌種複合系のバイオフィルム形成 |  |  
 
 
 
                                 
                                  | 
                                       
                                        
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| 図2 スライドガラス上に形成したバイオフィルム (クリスタルバイオレットで染めてある)
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                                              | 図3 | スライドガラス上に形成したバイオフィルムの顕微鏡写真 (クリスタルバイオレットで染めてある)
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                                              | 図4 | 酵母のバイオフィルム形成を促進する乳酸菌培養濾液 |  |  |  |  |   
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                                  | 1 | 
| Narisawa N., Furukawa S., Ogihara H., Yamasaki M., Estimation of the biofilm formation of Escherichia coli K-12 by the cell number. J. Biosci. Bioeng. 99: 78-80, 2005. |  |   
                                  | 2 | 
| Kawarai T., Wachi M., Ogino H., Furukawa S., Suzuki K., Ogihara H., Yamasaki M., SulA independent filamentation of Escherichia coli during growth after release from high hydrostatic pressure treatment. Appl. Microbiol. Biotechnol. 64: 255-262, 2004. |  |   
                                  | 3 | 
| Furukawa S., Watanabe T., Tai T., Hirata J., Narisawa N., Kawarai T., Ogihara H., Yamasaki M., Effect of high pressure gaseous carbon dioxide on the germination of bacterial spores. Int. J. Food Microbiol. 91: 209-213. |  |   
                                  | 4 | 
| Watanabe T., Furukawa S., Tai T., Hirata J., Narisawa N., Ogihara H., Yamasaki M., High pressure carbon dioxide decreases the heat tolerance of the bacterial spores. Food Sci. Technol. Res. 9: 342-344, 2003. |  |   
                                  | 5 | 
| Watanabe T., Furukawa S., Hirata J., Koyama T., Ogihara H., Yamasaki M., Inactivation of Geobacillus stearothermophilus spores by high pressure carbon dioxide treatment. Appl. Environ. Microbiol., 69: 2030-2033, 2003. |  |  |  |   
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