骨の博物館

2022/04/27
★つくしとすぎな

これは、何でしょう?
つくし

はい、「つくし」です。正解です。

では、これは?
すぎな

はい、「すぎな」です。

「つくし」と「すぎな」は同一植物で、
「つくし」の後に「すぎな」が生えます。
和名表記するとどちらも「スギナ」です。

スギナは、シダ植物に分類されます。
つくしは胞子を散布する器官(胞子茎)、
すぎなは光合成をする器官(栄養茎)です。

それでは、これは?
イヌスギナ

困りましたね。
これは、イヌスギナという別種です。

スギナは適度に湿った土地に、
イヌスギナはより水けの多い湿地に生育します。
こちらは大学近くの
引地川親水公園に生育していました。

スギナは胞子茎と栄養茎の生える時期がずれますが、
イヌスギナは同時期に、しかも合体しています。

スギナの生育環境
スギナの生育環境

イヌスギナの生育環境
イヌスギナの生育環境

さて先週に続き、今度の植物名は
「イヌ・・・」ですね。

「イヌ・・・」はしばしば
「役に立たない」の意味などで用いられます。
【例】 犬ざんしょう(山椒)
    犬むぎ(麦)  
など たくさんあります。


2022/04/20
★「スズメノ」植物

私たちは、植物というと
美しい花に目が行きがちですが、
その生活に目を向けると、
毎日の観察が楽しくなります。

識別して名前を知ることが、
親しむための第一歩です。
植物図鑑に楽しい種名が
たくさんありますので、
これらから覚えてもよいと思います。

「スズメノ」もその一例です。
「スズメノ」または「スズメ」の
つく植物は下の様なものがありますが、
スズメ=小さな鳥の比喩で、
しばしば小さな植物につけられます。
これと対で、大きな植物にカラス(=大きな鳥)が
つけられることがあります(※)。

 ※【例】
  小さなスズメノエンドウに対して
  大きなカラスノエンドウ

  小さなスズメウリに対して
  大きなカラスウリなど

スズメノエンドウ(引地川親水公園の土手)
スズメノエンドウ

カラスノエンドウ(大学構内のシバ植栽地)
カラスノエンドウ

図鑑には、きっと次の種名が
載っているでしょう。

 ・雀の鉄砲
 ・雀のやり(槍)
 ・雀のかたびら(帷子; 一枚布の衣類)
 ・雀のえんどう
 ・雀のひえ(稗; 雑穀の一種)
 ・雀うり(瓜)

夏から秋にみられる下の2種を除き
春は「スズメノ」たちの観察シーズンです。

スズメノテッポウ(藤沢市石川の水田)
スズメノテッポウ

スズメノヤリ(葉山町小磯のシバ草地)
スズメノヤリ

スズメノカタビラ(引地川親水公園のシバ植栽地)
スズメノカタビラ

皆さんは、スズメノテッポウや
スズメノヤリから、スズメが
鉄砲や槍を持っている姿を
想像できましたか?


2022/04/13
★春の海藻

春は、海藻観察のベストシーズンです。
海風のぶつかる場所では
漂っている海藻が打ちあがります。

打ちあがった海藻

陸上植物は秋に最も生長しますが
海藻は冬によく生長します。

おなじみのワカメ
ワカメ

ヒジキ
ヒジキ

海藻サラダの原料のトサカノリなども
この時期ならではのものです。
トサカノリ

近年非常に少なくなりましたが
アメフラシ類(ウミウシの仲間)の卵も
春に打ちあがります。
アメフラシの卵

博物館では毎年実習を行い
陸上植物の標本を作製しますが
海藻押し葉も出来るようにと
採集をしました。

ヒラミルと思われる
ヒラミルと思われる

モク類
モク類

フサノリ類
フサノリ類

ウミウチワ(左)とフクロノリ(右)
ウミウチワとフクロノリ

拾った海藻は冷凍保存できます。
このため海藻の打ち上げの少ない夏でも
押し葉を作ることができます。


2022/04/06
★ハシボソガラスの営巣

2月9日にお知らせしました
ねぐらとして使用していたケヤキに
ハシボソガラスが営巣しました。

ケヤキ

近くにあった古巣が
なくなっていましたので
巣材を再利用したのかもしれません。

巣

巣に親鳥が入っている時が長いので
既に抱卵(※)をしているかもしれません。
※産んだ卵をあたためること

ハシボソガラスの抱卵期間は
一般的に20~22日間、
雌が3~6個の卵を抱くといわれています。

参考文献:保育社「原色日本野鳥生態図鑑」
(中村登流・中村雅彦,1995)


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