2022/03/30
★木化け(きばけ)
5号館の裏手で、すぐ近くの
ウメに小鳥が止まりました。
左手前の太い幹に隠れて
姿が見えませんでしたが
そろりそろりと近づいて
腹部の橙色を確認しました。

普段警戒心の強い、アカハラでした。
とっさに木化けをしました。
木化けとは、動物を驚かさないように
木になったふりをすることです。
うまく行くと、至近距離でも
鳥に気づかれないこともあります。
少しずつカメラを動かして、
ゆっくりとレンズを向けて、
そっとシャッターを切りました。
約1分後に、キャッキャッキャッキャッと
鳴いて飛び立ちました。
その間、アカハラも
じっと動きませんでした。
もしかしたらアカハラは
僕に気づいていて、僕に対して
木化けをしていたのかもしれませんね。
木化けは、鳥だけでなく、獣や両生類、
爬虫類、昆虫の観察の時にも
役に立つことがあります。
2022/03/23
★海藻の季節
陸上植物が最も繁茂するのは、秋です。
一方海中の植物は、春です。
水の透明度も高く
海中にたくさんの光が届きます。
春でないと観察できない海藻も多く
ワカメもその一つです。

皆さんの食べるワカメは緑色ですが
自然状態のワカメは黄金色をしています。
褐藻というグループです。
ワカメには、クロロフィルの他に
カロテノイドという色素がありますが
ゆでると元のカロテノイドの色が変化して
全体が緑色に見えます。
春の大潮は、海藻観察の最も楽しい時期です。
先日、潮が大きく引いた稲村ヶ崎では
たくさんのワカメが生育している
様子が見られました。

2022/03/16
★烏帽子岩の不思議
烏帽子岩は、片瀬海岸(西浜)や
辻堂海岸、茅ヶ崎海岸などから見える
沖合約1.5kmの岩礁地帯にある巨岩です。
この岩の色、夏と冬とで違いますが
ご存じでしょうか。
夏は全体が黒っぽく見えますが
冬に白く変わります。
ウミウという海鳥の糞が原因ですが
日中に烏帽子岩を見ても
それらしき鳥はとまっていません。
烏帽子岩は、ウミウが夜に集まって
眠る塒となっています。
このため夕方か早朝でないと
とまっているところを見られません。
では、ウミウが烏帽子岩に
とまる様子をご紹介します。
日没約2時間前から烏帽子岩東側の
平らな岩礁の一角(通称 鵜島)に
ウミウが集まり始めます。
遠く西からも東からも集まります。
動画右下の
マークを押すと
大きな画面でご覧いただけます。
日の入時刻が過ぎてからある時突然
烏帽子岩への移動が始まります。
最終的には、最初に集合した岩にはいなくなり
ほとんどが烏帽子岩か付近の岩にとまります。
毎日、この様なとまり方をするか不明ですが
時化の日に、早い時刻から直接とまっているのを
観察したことがあります。
その日の海況によってとまり方が
変わるかも知れません。
一度、別の場所に集まった後
一斉に眠る場所に移動する行動は
葉山にあるウミウ塒でも時々見られます。
なぜ、最初から烏帽子岩に
とまらないのでしょうね。
理由はよくわかりません。
※この動画は、高倍率での望遠撮影をしています。
観察には、双眼鏡や望遠鏡が必要です。
2022/03/09
★春の歌
雑木林の春の歌
この時期、雑木林で暮らす一部の小鳥は
春から初夏に繫殖します。
暖かい陽気に誘われて
囀りをはじめるものもいます。
南風の吹く暖かな日
今年初めてウグイスの囀りを聞きました。
初夏の頃に聞く立派な囀りと違い
ホチョやケキョなど短めの歌です。
練習中でしょうか。
田んぼの春の歌
早春の雨を待ちわびる生物がいます。
アカガエル類、ヒキガエル類、
トウキョウサンショウウオなど
一部の両生類の仲間たちです。
ここ藤沢市内の谷戸では
毎年ニホンアカガエルが産卵します。
この日は日中南風が吹き暖かく
夜に雨が降りました。好条件です。
この声を聞いたことのある人は
少ないかも知れません。
ニホンアカガエルは
この時期、しかも産卵に適した
条件の時にしか鳴きません。
繁殖のための歌です。
警戒心も強く
驚かせてしまうと鳴きません。
2022/03/02
★ウミウの交通量調査
ー夕方ー
葉山町芝崎から西側の海を見ています。
黒い鳥が同じ方向に飛びますよ。
動画右下の
マークを押すと
大きな画面でご覧いただけます。
黒い鳥はウミウです。
ウミウは海上を低く飛びます。
目的地はどこでしょうか。
ーパーキングエリア混雑中ー
葉山の沖合に小さな岩礁(島)が
たくさんあり、この一角に
夕方になるとウミウが集まります。
ここはウミウのねぐらで
海が穏やかな日は毎日ここで眠ります。
まるで針の山のようですね。
何羽集まるのか知りたいのですが
ここでは鳥同士が重なりあって
見えて数えられません。
ー朝(日の出前)―
まだ薄暗い日の出30分以上も前から
ウミウは各々の餌場に向かって飛び立ちます。
まるで海の上に道があるようですね。
一定方向へ飛ぶ数を交通量調査のように
数えるとねぐらに集まる数を
推定することができます。
3月1日と2日の調査では
南行きの交通量はウミウ370羽とヒメウ21羽
北行きの交通量はウミウ107羽とヒメウ8羽
結果、葉山の塒全体で500羽を超えるウ類が
集まることがわかりました。
ウミウは毎日特定の塒に集合するので
全体の個体数を知ることが
最も容易な鳥の一つだと思います。
各地で交通量調査が行われれば
日本で暮らすウミウ全体の数も
わかるかも知れません。