TEACHER
海洋生物やその生態、環境、
食料資源、水族館の展示まで、
海洋生物学科の幅広い学びは、
あなたの未来が見つかる学びです。
糸井史朗 教授
海洋生物学科の特長は、水や海に関わる生物について幅広く学べる「多様性」にあると自負しています。16名の専任教員はそれぞれ独自の専門分野を持ち、海洋生物そのものはもちろん、その生態や取り巻く環境、食料資源としての重要性などを研究対象としています。また今回の改組では、海洋生物の展示学についても新しく講師を迎えるなどカリキュラムの強化を図りました。本学科に興味のある皆さんの中には、将来、水族館での活躍を夢みている方もいるでしょう。そういった学生のニーズにも応え、より実践的で充実した学びの場が提供できるようになると期待しています。「海洋生物には興味があるけど、将来どんな仕事をしたいのかわからない」という方でも、幅広い分野の学びを得るうちに、自分の進むべき道が見えてくるのではないでしょうか。
私が今、最も興味をもって取り組んでいるテーマは、なぜフグはフグ毒を持っているのかということです。フグ毒はフグ自身がつくっているのではありません。何かから供給されています。これまでの研究では、フグのエサである「ヒラムシ」が、フグにおけるフグ毒の蓄積と深い関係を持つことなどを明らかにしてきました。こういうと、私がフグ毒一筋の研究者に見えるかもしれませんが、実は研究を始めたのは10年ほど前。どうしてもフグ毒の研究をやりたいという学生の熱意に押され、取り組むうちに自分がはまってしまいました。皆さんも本学科の幅広い学びから興味のあるテーマを見つけ、教員を巻き込むほどの研究をしてくれるのではないかと、今からワクワクしています。
森司[生理生化学]
エゾアカガエル幼生はヒトでは難治性の病気の遺伝子を発現させ、自分の体を変えて捕食者から身を守り、捕食者が消えると元に戻ります。この機構を利用してヒトの病気の治療薬開発をめざします。
鈴木美和[生理学]
哺乳類にとって決して棲みやすいとはいえない海という環境に、イルカやクジラがなぜ適応することができたのか?という疑問を、体や器官、細胞をつぶさに調べて解き明かすことをめざしています。
苫名充[軟骨魚類の獲得免疫]
獲得免疫は脊椎動物において出現しましたが、その基本部分を明らかにするため脊椎動物の中で最も原始的な生物でシンプルなシステムを有する軟骨魚類を用いて、主に細胞レベルでの研究をしています。
井上菜穂子[脂質生化学]
質量分析イメージングという新しい分子局在可視化法を用いた脂質代謝物動態に関する研究を行っています。研究対象は無脊椎動物、魚類、両生類から哺乳類に至るまで幅広く取り扱っています。
柴崎康宏[魚類の免疫機構]
魚類養殖では、ワクチンによる魚病予防が重要です。魚類のユニークな免疫機構(特に抗体の作られ方)を解明し、その成果を基に、より効果的なワクチンを開発するための研究に取り組んでいます。
小島隆人[魚の行動と漁業]
魚の成長を促進、あるいは魚が不快に感じる音はどんな音かを、人が手を触れずに記録できる心電図から予想を試みています。また、口内の形状と良く釣れる釣針の形の関係についても調べています。
福島英登[水産食品化学]
多種多様な水産物を有効に利用するため、冷凍・冷蔵貯蔵により鮮度・品質を保持する研究や筋肉タンパク質の特性を調べ、時代に応じた新たな水産加工食品の開発に取り組んでいます。
間野伸宏[魚病学]
養殖産業や水族館、川や海などの自然水域で発生している魚病やその治療・予防研究に取り組んでいます。また、魚の免疫力を向上させる免疫強化剤に関する研究にも挑戦しています。
澤山英太郎[品種改良]
連鎖解析やゲノムワイド関連解析を積極的に取り入れ、養殖魚(マダイやヒラメ)の成長や耐病性、奇形といった品質に関与する遺伝子の特定を行い、養殖業界へ還元することをめざしています。
周防玲[海洋天然物化学]
海洋生物には、医薬品などになる可能性を秘めた化学成分が数多く含まれています。そのような利用価値の高い化学成分を、広く海洋生物から探し出し、分子構造を明らかにする研究を行っています。
荒功一[海洋環境]
相模湾沿岸域での水温・塩分、潮流、海水に溶存・懸濁している化学物質、植物・動物・微生物プランクトン群集の食物網構造、生産性、摂餌量など海洋低次生態系の季節・短期変動を調べています。
髙井則之[動物生態]
アユ、ナマズ、カミツキガメ、カワウなど、川や湖に住む動物たちの生態と生息環境、水底の植物と動物たちの織りなす食物網、メジナやムツといった海底の大きな魚たちの生態などを調べています。
糸井史朗[海洋生物の毒]
フグはどのようにしてフグ毒を蓄積するのか、この毒をフグは何に使っているのか調べています。また最近では、フグ毒をもたないと思われていた生物からもフグ毒が見つかっており、その原因を調べています。
牧口祐也[繁殖行動生態]
魚類の繁殖行動に興味を持ち、サケ科魚類を対象とした繁殖生態に関する研究を行っています。具体的には、サクラマスの受精環境で起こる精子競争および配偶者選択に関する研究を行っています。
藤井琢磨[動物系統分類]
スナギンチャクやイソギンチャク、サンゴのなかまを形態や遺伝子をもとに分類し、分布を調べています。特に環境の多様性と種の多様性の関連性に注目して、いかにしてその多様性が成り立っているのか調べています。