TEACHER
地球規模の問題から、
人や生物との関わり、
都市の防災まで、
環境について幅広く学べます。
長坂貞郎 教授
私たちがめざすべき「環境」とは、どんなものだと思いますか。生態系が保全されていることでしょうか、あるいは生物多様性が維持されていること、それとも地球温暖化の防止でしょうか。実は環境学科がめざしているのは、そうしたすべてを含めた「人間を幸福にする環境」であると、私たちは考えています。この先ずっと、人が持続的に暮らしていけること。他の生き物と調和し、快適と思えるような環境を守ること。そのために環境学科では、地球規模の問題から、人と動植物との関わり、都市と防災など、環境に関する多彩な分野を扱い、広く深く学べるカリキュラムを用意しています。今後、環境問題の解決や環境への配慮がますます求められていく社会が到来し、本学科の卒業生が活躍するフィールドも広がっていくことも期待できるでしょう。
私の専門は水環境で、陸域における水循環と水とともに移動する物質の循環について研究しています。水は生物にとって不可欠なものであるとともに、時には災害や環境問題の対象ともなります。環境と調和した水の利用は、持続的な社会を実現するために重要なことだと思います。今回の改組では、動物を専門とする教員や植物を専門とする教員など、さまざまなバックボーンを持った教員が加わり、幅広い視点から環境を捉え、学ぶための体制が整いました。環境について考えることは複雑であり、勉強も簡単ではありません。だからこそ環境の学びは魅力的なのです。よりよい環境とは何かについて、本学で一緒に研究していきましょう。
串田圭司[地球環境]
地球温暖化は、気温上昇、大雨、極端な乾燥を起こりやすくします。自然災害、食料、生活環境に関わります。宇宙から地球を見るリモートセンシング、現地調査、データ解析によって、今起こっている問題を把握します。これからどういうことが起こるか予測します。そしてどういう対策が必要かを考えます。
中村篤博[大気環境]
地球温暖化や大気汚染、酸性雨など地球環境問題に関連する大気中の微粒子や微量気体、降水を対象として、どのような物質がどれくらい含まれているか、どのように大気から除去されるかといった物質循環や、生態系にどういった影響を与えるのかを知るため、フィールド上での観測を中心に研究を行います。
宮坂加理[土環境]
乾燥地はとても脆弱な環境のため、不適切な土地利用により容易に土地が劣化します。土地の劣化を起こさないためには、地域ごとの環境に適した土地利用が必要となります。過去から現在における利用状況を把握し、将来予測を行うために、現地調査や衛星画像の解析、シミュレーション解析などを行います。
ロイ キンシュック[地域環境保全]
国内外の各地域における土・水・植物系に関連した課題を研究し、持続的な方法で地域資源の活用と地域環境の修復保全を両立させ、地域のレジリエンスを向上させることをめざしています。基礎・調査研究を中心とした実験や分析を行っており、データ収集・解析には専用ツールを利用しています。
大澤啓志[緑地生態]
両生類や昆虫類等の身近な生きもの、野草類や樹林等の植物群落の生態的特性とそれら自然への人の関りも含めた文化的景観を研究しています。里山・棚田、都市の公園緑地、庭園、建築物緑化等、人と緑と生きものの暮らす環境の管理・活用を通じて、豊かなランドスケープの保全と創造をめざしています。
長坂貞郎[水資源]
水環境と人の活動とのかかわりについて研究しています。食料生産も含めて、人が暮らしていくためには水が不可欠です。必要なところに十分な水を供給する方法や、使った水が環境に与える影響、環境と調和した水資源の利用方法などについて、提案や評価をするための実験や調査をしています。
笹田勝寛[湿地環境保全]
貴重な自然の一つである湿原、人工的な湿地である水田の保全と活用が研究テーマです。多くの湿原や水田は失われる危機にありますが、その状況を土壌・水・生物の調査によって把握し、課題を明らかにし保全のための手法を検討します。また、環境教育活動などへの有効活用にも取り組んでいます。
對馬孝治[生元素循環]
河川や地下水などの水質汚濁は、自然界の元素の循環の偏りや滞りが一つの原因だと見ることができます。野外での現地観測と、水や土などの試料採取、そしてそれらの試料を実験室で測定することによって、この循環の偏りを解析して自然環境を" 診察" する研究をしています。
小林孝行[土壌化学]
フィールド調査と室内実験を通じて土壌環境の保全をめざします。具体的には、発光バクテリアを用いた重金属汚染土壌のスクリーニング法の開発を行っています。また、大気中の二酸化炭素濃度抑制の鍵となる土壌有機物の動態評価および酸性雨が土壌の諸性質に及ぼす影響の解明にも取り組んでいます。
炭山大輔[野生動物の保全]
生物の保全は、生き物と人間の生活そして自然環境、これら全ての健康を考慮する必要があります。具体的には、生き物とその生息環境(土壌や水)に存在する病原微生物や薬剤耐性菌の研究、細菌叢の解析、遺伝的系統解析など、生物の保全を科学的な視点で捉えた研究を行っています。
山嵜高洋[水環境]
様々な生き物の生活に欠かすことのできない水と向き合うことを基本として、環境問題に関する研究を行っています。主に山間部に湧出する湧き水や沢水を対象に、年間を通じた調査を実施しています。実験室にて水質分析を行い、清らかな水環境の維持形成や保全方法について考えています。
小島仁志[緑地環境保全]
生き物・人・社会が調和し持続可能な自然環境の保全を実現する実践研究が求められています。その中で私は、都市・里山の生物多様性保全をテーマに、野生植物の生育分布(植生)から環境を捉える生態調査や野生植物の資源利用方法、また自然環境保全に関わる地域活動を教育研究分野としています。
松本礼史[環境経済]
持続可能な地域や社会を実現するためには、私たちの暮らす社会の中に、どのような制度やしくみが必要なのか。企業や消費者は、どんな条件下で、環境を守ろうと考えて行動するのか。経済学の視点から、廃棄物問題やエネルギー問題を事例に、環境規制や環境政策についての研究を行っています。
斉藤丈士[環境創造材料]
環境創造と環境創造に寄与する建設系材料に関して研究をおこなっています。具体的な研究テーマは、建設系材料のリデュース・リユース(リロケート)・リサイクル、各種副産物の建設系材料へのリユース・リサイクル、材料特性に関する評価試験方法の開発、環境創造・保全における省リソース化などです。
内ヶ崎万蔵[環境エネルギー]
異常気象、生物多様性危機の今、地球環境との持続的共生、環境を活用した再生可能エネルギー開発と社会的実装が急務です。バイオ資源活用による①微生物燃料電池、②バイオエタノール、③メタン発酵、④バイオディーゼル研究の他、⑤ミツバチを活用した環境診断の研究を行っています。
藤沢直樹[都市・地域計画]
過剰な経済活動の集積により資源やエネルギーを大量消費し、環境に大きな負荷を与え、災害にも脆弱な都市。そのような都市を、地域固有の自然や文化・歴史を活かしたエコロジカルで安全なものにつくりかえるため、環境の担い手である住民が都市デザインに参加し、協力するしくみを研究しています。