日本化学会では「化学はcentral scienceである」と標榜しています。(個人的にはそのような自称はどうかと思いますが。。) 生命科学や環境科学との関わりも深く、皆さんにとっての化学のイメージは「自分の専門分野に関わる、役に立つ学問」かも知れません。 ただそれだけでは、少し寂しい気もします。皆さんの身の回りでは、花々や木々が季節ごとに様々に色づき、美しい姿を見せてくれます。 そうした美しい色は、植物に含まれる分子が光と関わることによりもたらされるものです。 そういった自然の美しさに関する感動や驚きが、私たちが化学を研究する上での原動力になっています。 「明日役に立つ」知識に対する誘惑は強いものがありますが、情報の賞味期限の短い現代では、明日役に立つ知識はあさってには陳腐になることもしばしばです。 自分がおもしろいと思うことを着実に身に着ければ、それが「一生使える」学問になると、私は信じています。
