TEACHER
フラワー、植物性食資源、
動物性食資源の3領域で、
消費者と生産者のニーズに対応した、
付加価値の高い農産物をめざします。
野口章 教授
例えばイチゴを買うとき、皆さんはどんな点にこだわっていますか。甘さやおいしさはもちろん、ビタミンCやポリフェノールなどの栄養素を多く含むもの、傷みにくく日持ちがするものなどを希望する方もいるかもしれません。これは皆さんのような消費者にとっての農産物の価値です。一方、生産者にとっての価値もあります。育てやすさや収穫のしやすさ、病気にかかりにくいことなどは、重大な関心事となるでしょう。アグリサイエンス学科では、消費者と生産者双方のニーズを捉え、農産物(フラワー、植物性食資源、動物性食資源)の付加価値を高めていくことを目標としています。そのために農場での実習と、研究室での実験を重視。教育・研究の軸に据えている点が他にはない特長となっています。
私は大学の卒業研究で農地の重金属汚染という公害の問題に触れ、安全な食料を生産することの重要性を知りました。また、大学院修了後に赴任したフィリピンでは、やせた土壌で農業を営まざるを得ない人たちがいる現実を知り、「世界の人々が安全な食料をおなかいっぱい食べられるようにすること」がいかに大切か、身をもって感じたものです。こうしたことは、アグリサイエンスを学ぶ者として絶対に忘れてはいけないことであり、今も学生たちに学びの中で伝えています。皆さんも農産物に関する課題を発見し、解決策を考え、日本や世界のために貢献してみませんか。人々の役に立ちたいという強固な志を持った学生を、本学科は心待ちにしています。
窪田聡[花き園芸]
植物の根の温度を制御できる装置(N.RECS)を開発し、特許を取得しました。花き植物を中心にして根域温度が生育と開花に及ぼす影響について研究し、これらの研究成果が花きのアグリビジネスの発展に寄与することをめざしています。
百瀬博文[施設園芸]
温度・日長などの環境要因を制御して園芸作物を狙った時期に収穫する技術、LED 光を利用した植物の栽培技術、携帯端末で取得した画像を基にした植物栄養診断法の開発など、新しい栽培技術の開発に取り組んでいます。
水田大輝[花の分子育種]
サクラソウなど花の形質の多様化の研究を行っています。様々な花色や模様形成、八重咲きなどに関わる遺伝子を探索・解析しています。そして、得られた有用形質に関わる分子情報を活用して観賞価値の高い新しい花の作出をめざしています。
東未来[花の分子生理]
私たちの生活を彩る花は、どのようなメカニズムで開花し、萎れていくのか?そのメカニズムを植物ホルモンの分析や、遺伝子組換え技術等のバイオテクノロジーを用いて解明し、綺麗で日持ちの良い花を作ることをめざしています。
根岸尚代[フラワーデザイン]
歴史的・文化的背景を踏まえ、私たちを取り巻く多様な都市環境に適したフラワーデザインの探求をしています。戦争による損傷等を樹体に残し、語り部的役割を果たしている「戦災樹木」の研究にも取り組んでいます。
野口章[土壌肥料植物栄養]
農産物の品質確保を目的として、環境適応植物の特性把握、迷惑雑草の生育制御と有効利用、マメ科植物の緑肥能の再評価などを手掛けています。究極的には、世界中の誰もが安全な食料を十分に食べられるようにすることをめざしています。
磯部勝孝[作物生産]
豆腐や味噌、納豆など大豆を使った食品の味は原料である大豆の出来栄えで大きく異なります。どうしたらもっと高品質な大豆を生産できるか?また、機能性成分を多く含む穀物のキノアの生理・生態的特性を研究しています。
倉内伸幸[熱帯有用作物]
途上国の作物には、日本で関心が薄い雑穀類や全く知られていない作物種がたくさんあります。これらの作物の有用形質を明らかにし、現地のニーズに合った品種改良や農業技術の改良について研究しています。
立石亮[果樹・野菜園芸]
野菜や果物の高品質化について生理学的な研究をしています。果汁があふれるジューシーさなど果実の食感形成メカニズムを解析するため、多糖類の成分を調べたり、遺伝子組換えを行ったりしています。美味しいフルーツの開発に役立てます。
川越義則[農産物収穫後処理技術]
収穫後の農産物が食卓に届くまでの選別、貯蔵、加工、包装、輸送等の過程における様々な操作に関連したポストハーベストテクノロジーを教育・研究の対象としており、特に青果物の非破壊内部品質評価に関する研究に取り組んでいます。
宍戸理恵子[作物遺伝解析]
稲品種の改良に役立てることをめざして、種子休眠性や葉の老化に関わる形質の遺伝解析を行っています。また、交配により有用遺伝子の導入が可能な祖先野生種を対象に、自生集団における遺伝的多様性の維持機構の解明に取り組んでいます。
加藤太[熱帯農業]
日本国内および東アフリカの農村や農家がかかえる問題を解決するため農学や地域研究の手法を用いて農業技術の改善をめざしています。特に作物の環境負荷の少ない栽培方法の模索、伝統農法の解明や農村の振興に取り組んでいます。
梅田大樹[植物フェノタイピング]
最適な栽培環境を実現するための光学的手法を用いた作物状態の"見える化" 技術の開発、そしてビールの主要な原料であるセイヨウカラハナソウ(ホップ)に含まれる機能性成分と栽培環境との関係性について研究しています。
水野真二[野菜分子生理]
ウリ類、アブラナ類、イチゴなどの野菜を対象に、新しい生産技術と有用遺伝子に関する研究を行っています。これまでにイチゴの開花促進技術の開発や、メロンの省力栽培性に係る巻きひげ形成遺伝子の発見に成功しています。
上吉原裕亮[果実分子生理]
果物や野菜の「食味」には、甘さや酸っぱさだけでなく、香りが大きく影響します。園芸作物に含まれる重要な香り成分の合成メカニズムを遺伝子レベルで明らかにし、香り豊かな果物・野菜の開発に役立てられるような研究をしています。
肥後昌男[作物分子生理]
土の微生物を活用することで植物の栄養状態を改善できれば、植物の栄養素となる肥料を少なくし、放射性物質などで汚染された畑を浄化できる可能性があります。環境浄化や植物の病気を改善できる有用な微生物を探索する研究をしています。
佐々木大[作物生産技術]
農業は慢性的な人手不足が深刻化しており、高品質な農作物を省力的に生産する技術の開発が求められています。農業機械の効率的な利用方法や農作物のおいしさを引き出す栽培方法を研究し、魅力的で持続的な農業の実現をめざしています。
山本裕一[病害虫総合防除]
昨今、農業現場においては、残留農薬や周辺環境への悪影響などから化学農薬に依存しない農法が求められています。そこで、私は自然環境から発見された微生物を用いることで、植物病害や害虫から農作物を守る研究をしています。
泉賢一[酪農生産システム]
酪農生産は土、草、牛、乳生産、牛舎環境が総合的に関係しています。その出発点である、ウシの第一胃(ルーメン)を最適化する飼料給与法を第一の研究テーマにしています。得られた基礎情報から現場に適した酪農生産システムを考えます。
三角浩司[家畜繁殖]
ブタにおける繁殖技術全般について研究を行っています。特に、効率的に体外受精卵を作出するため、精子の受精能力を評価する方法について研究しています。また、遺伝子保存のために生殖細胞の長期保存に関する研究にも取り組んでいます。
浅野早苗[乳用家畜の栄養]
ウシを中心とした反芻動物の栄養管理について研究を行っています。何を、どれくらい、いつ給与すればよいのか、時間栄養学の観点からより効率的な乳生産をめざします。また、製造副産物など低・未利用資源の飼料化にも取り組んでいます。