The 2 weeks giving Large Experience

獣医学科5年 小林 功 

 

 見渡す限り黄金色の小麦畑、ワシントン州立大学のあるプルマンという町はそんな広大な小麦畑の中に位置している。学園都市として栄えているプルマンは町の半分近くが大学の敷地であり、大学が町のシンボルにもなっている。この研修が行われる7月下旬から8月上旬は大学がちょうど夏休みで、学生の多くは故郷へ帰省しているため学内に学生は少なく、町も閑散としていた。

 英語圏での生活を体験し、英会話能力を向上させるのも今回の研修に参加した大きな目的であった。授業や実習以外は全て自由行動であるため、食事をしにプルマン市内のレストランに行くことも多い。レストランや店での応対はコミュニケーションの練習の格好の場所となる。会話やレジでの支払いには次第に慣れていくものの、英語が聴き取れない、言いたいことがうまく英語にできない、言った事が通じないといったことには最後まで悩まされた。しかしながら応対がうまくいくと自信が付くもので、積極的に話しかけて練習するように心掛けていた。

 ワシントン州立大学は広大な敷地にレンガ造りの建物が軒を連ねる西洋風の町並みをイメージさせるものだった。中には講堂なのか民家なのか区別の付かない建物もある。その中で最もスケールの大きさを感じたのは大学付属の動物病院であった。ワシントン州立大学の動物病院は大動物、小動物共に診療できるだけの敷地、設備が整っており、州内だけでなく州外からも診療に訪れる患畜がいる。小動物は犬、猫が主体であることは日本と同じであるが、大動物の主体は馬であり、年間の患畜数は小動物に劣らない程多いらしい。アメリカにおいていかに馬が家畜として重要であるかが伺える。

 研修は小動物コースと馬コースとに分かれて約2週間行われる。どちらのコースも内容が充実しており、貴重な体験をできるものであるが、今回は馬コースを選択した。日本の獣医科大学では馬を学ぶ機会はそう多いものではなく、まして生きた馬を使っての実習などは体験できないのが普通である。しかしながらこの研修においては馬の心臓病学、呼吸器病学、消化器病学、運動器病学、繁殖学、歯学などの他に、X線診断や超音波診断、子馬学といったことまで実際に馬を使いながら学ぶことができる。講義、実習では専属の方の通訳により、不自由なく理解することができるものの、実習中に積極的に英語で応対することで、よりいっそう楽しいものとなり、充実したものとなった。

 異国の地で気候が違い、食習慣が違い、そして言語が違う、こういった環境の下で生活するだけでも様々な経験が得られるが、さらに同じ獣医師を目指す仲間と共同で行われるこの研修から得られる経験は計り知れない程大きなものだ。それらは今後の人生の糧となるばかりでなく、忘れられない一生の思い出ともなるだろう。