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活躍する卒業生:就職

青年海外協力隊 平成13年度卒業 山本 純栄さん

『「環境」とのつながり』

 マレーシアよりこんにちは。

 私が青年海外協力隊としてマレーシア、ボルネオ島部のサバ州に赴任してちょうど1年半が経過しました。(1)野生生物保護教育推進のための協力、(2)新設された各教育センターの展示などについての協力が求められ、”環境教育”という職種でサバ州野生生物局・教育広報部に配属されています。

 一つ目の要請内容である「野生生物保護教育推進のための協力」としては、学校の文化祭やアースデイなどのイベント時にアジアゾウやオランウータンを連れて行き、その傍らで野生動物に関するクイズや絵画コンテストを開催しています。

 また、アフリカやタイ、スリランカではすでに販売されているゾウ糞から作ったリサイクルペーパーの商品化に向けての準備も進めています。これは、WWF(世界自然保護基金)マレーシアおよび障害者の作業所に配属されている養護隊員との協同プロジェクトで、WWFを通じて障害者の方が作ったゾウ糞リサイクルペーパーを販売し、その収益をボルネオのゾウの保護と障害者の社会的自立に役立てようとするものです。

 2つ目「自然教育センターの展示協力」については、赴任して約1年経過した頃にようやく予算がつき、本局に勤務するスタッフ2名と展示の準備にとりかかることができました。

 最初に着手したセンターはテングザルが観察できることで有名な、全長560kmのキナバタンガン川流域にあります。オランスンガイ(川の民)と言われる人々が、雄大な川とともに今なお暮らす素晴らしい場所です。その地域は材木と油やしのブランテーションを収入源にしてきた場所で、伐採された木材の多くが日本へ輸出されたことはご存知の方も多いと思います。現在は”持続可能な開発”を目指し、残された僅かな自然を守るため、エコツーリズムに力を入れています。

 すべてが順調!と言いたいところですが、予算の都合や不意な人事異動といった日本では考えられない出来事で、一緒に頑張ってきたスタッフや仕事が何度も白紙に戻されてしまい、思うように進まないのが現状です。自分の力不足を痛感し、苛立ちを覚えることもしばしばですが、先進国・日本を離れ、マレーシアでのんびりと明るく暮らしている人々とともに働くことは、日本について、国際協力について、そして”幸せ”の意味について考える機会を私に与えてくれました。

 任期は残り半年となりましたが、今年1月よりオランウータンの孤児を野生に戻す取り組みが行われているセピロクオランウータンリハビリテーションセンターで、サバ州の住民を対象にアンケート調査を行います。これは地元の人々がオランウータンとセンターをどのように認識し、利用しているか調べ、その結果に基づいてセンターの在り方を考え直し、整備していくことがねらいです。

 オランウータンの保護に従事することは私が中学生の時から抱いていた夢です。ここまで私を支えてくれた方々との素晴らしい”出会い”に感謝しつつ、これからも自分を取り巻くさまざまな『環境』との”つながり”を大切にして生きていきたいと思います。

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