日本大学生物資源科学部生命化学科
土壌圏科学研究室

 
 
 
 

 主な研究内容

土壌圏科学研究室では、土壌の機能と役割を、フィールド調査と室内実験により明らかにし、土壌資源と地球環境の保全を目指しています。具体的には、下記に示すとおり、人為的影響によって生じる重金属汚染土壌の問題、森林土壌に着目した土壌環境問題、および大気中の二酸化炭素濃度と密接に関係する土壌有機物の動態についての幅広い研究を推し進めています。

発光細菌を用いた重金属汚染土壌のスクリーニング法の開発

 現在、各国で土壌汚染の規制が厳しくなりつつあります。汚染土壌の修復には、はじめに工場跡地などの敷地内における汚染物質の分布を詳細に把握した上で、適切な修復法を選択する必要があります。しかし、土壌汚染は水質汚染とは異なり汚染物質が拡散しにくいため、詳細な汚染物質の分布図を作成するための費用は極めて高額となります。この費用の問題は、土壌汚染状況の掌握、ひいては土壌環境の保全に向けての大きな妨げとなっています。
 本研究では、安価で簡便ながらも詳細な土壌汚染の分布図を作成することを目的として、発光細菌を用いた汚染土壌のスクリーニング法の開発を目指しています。対象物質は、わが国で最も報告事例が多い重金属類(鉛、カドミウムなど)です。この手法の開発によって、土壌汚染状況の掌握とそれに続く土壌環境の保全につながることが期待されます。
(まだ溶液系での検討ですが、一歩一歩進んでいます!)

 

森林植生下で特異的に認められる土壌酸性化に関する研究

 雨水のpHは、大気中の二酸化炭素や化石燃料の燃焼によって放出されるSOx(硫黄酸化物)が溶け込んでいるため、通常pH5.6以下の弱酸性を示します。そのため、降水量が蒸発散量より多い我が国での土壌は酸性化の方向に進行します。さらに、森林植生下では降雨に加え、強酸性の樹幹流が土壌に供給されることから、樹幹付近の土壌はさらに土壌酸性化が進行しています。土壌酸性化が進行すると、植物に有害なAlイオンが溶出するため、土壌環境や土壌生態系に影響を及ぼす可能性が高くなりますが、森林植生下の土壌においてこれを詳しく調べた研究は少ないです。
 本研究では、森林植生下の樹幹流が土壌の理化学性と生物に及ぼすに及ぼす影響について、主にAlの形態に着目した研究をおこなっています。(まだ始めたばかりですが面白い結果が出そうでワクワクしています!)
(令和4~6年度 文部科学省科学研究費 基盤研究C研究課題)

 
 

土壌中のペリレンキノン系色素に関する研究

 土壌は大気CO2の炭素量の約3倍(23000億トン)に相当する炭素を土壌有機物として蓄積しています。土壌環境科学の分野では、「地球温暖化によって促進される土壌有機物の分解によって、どの程度大気中のCO2濃度が増加するのか?」を予測することが重要な研究課題のひとつとなっています。しかし、土壌は多様な環境と時間のもとで生成されるため、土壌有機物の分解程度も土壌によって多種多様です。これは、温暖化による土壌有機物の分解量の予測を困難にします。
 本研究では、糸状菌が生産し、様々な土壌に分布するペリレンキノン色素を土壌有機物のモデル化合物のひとつとして用いることで、複雑な土壌有機物の安定化と分解に関する疑問点を解き明かすための研究を展開しています。また、ペリレンキノン色素の生成環境を解明するために、次世代シークエンサーなどを用いた分子生物学的手法から土壌微生物群集構造と同色素の関係を明らかにします。
(赤色の溶液が酸性下でのペリレンキノン色素です。カクテルみたいな綺麗な色素が土壌にあるのは驚きです!ちなみにアルカリ性では青緑色を呈してこちらも「美しい!」の一言です。)
(平成29~令和元年度 文部科学省科学研究費 若手研究B研究課題)

 

土壌圏科学研究室

日本大学 生物資源科学部 生命化学科

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