Nihon University
Laboratory of
Veterinary Epizootiology
当研究室の主な研究課題は主にウイルスが原因となる感染症です。研究対象となる動物は家畜や伴侶動物だけではなく,猪などの野生哺乳類も含まれます。
現在は地方病性牛白血病や馬伝染性貧血などのレトロウイルス感染症や、猫伝染性腹膜炎の病態や原因ウイルスの性状に関する研究のほか,牛,馬,羊,山羊,豚および猪などの病原体感染状況を把握するための疫学調査などを行っています。
獣医伝染病学研究室のホームページにようこそ。
当研究室教授の小川 健司(おがわ けんじ)です。
当研究室は1947年に本学獣医学科の前身である東京獣医畜産専門学校に開設された歴史のある研究室です。これまで研究室を主宰してきた歴代の教授および教官が各々の専門分野を活かし,様々な角度から動物感染症の研究を精力的に進めてまいりました。
私自身は牛にBリンパ球の腫瘍を発生させる牛白血病ウイルスや,馬に進行性の貧血および衰弱などを引き起こす馬伝染性貧血ウイルスなど,レトロウイルス科のウイルスに強い興味を持ち,これらのウイルスによる疾病の病態解明および予防法に関する研究を行ってきました。
牛や豚などの家畜の感染症には、罹患によって食肉や牛乳の生産性の低下や,皮革や被毛などの質の悪化を起こす疾患のほか,家畜伝染病予防法にもとづき,病原体に感染した動物を殺処分しなければならなくなる口蹄疫(こうていえき)および高病原性鳥インフルエンザなどの重要な感染症が含まれます。
また,一般家庭で大切に飼育されている犬や猫などの伴侶動物にも,犬ジステンパーや猫白血病ウイルス感染症など,健康と生命を脅かす多数の感染症が存在します。
人間の医療に近い,時には肩を並べるほどのレベルになっている現在の日本の獣医療ですが,様々な感染症が今なお多くの伴侶動物の命を奪っているのが現状です。
しかし,正しい知識に基づいて適切に飼育したり,ワクチン接種を行ったりすることで,多くの感染症から彼らを守ることができます。
さらに,近年注目を集めている「人獣共通感染症(じんじゅう きょうつう かんせんしょう)」と呼ばれる,動物から人間へ,場合によっては人間から動物へ病原体が伝播して発生する感染症も大きな問題です。人間が直接的・間接的に,または食肉などの畜産物を介して家畜や伴侶動物,野生動物などと接触した結果,これらの動物が保有する病原体が人間に感染し,健康を害する例が後を絶ちません。
現在は「One World, One Health」と呼ばれる概念が野生動物保全協会(WCS)により2004年に提唱され,世界保健機関(WHO)や国際獣疫事務局(OIE)などが中心となって広められています。
これは人間・動物・環境や生態系が不可分であるため,これらを一つのものと捉えて関連する分野が連携して問題に対処することが必用であり,それが人間および動物の健康の維持と,環境や生態系の保全につながるとする概念です。
当研究室もこの概念にもとづき,微力ではありますが,動物と人間の健康に貢献できる研究を進め,さらに地球の健康の将来も担う学生の皆様への教育を行ってまいります。
教 授 小川 健司(おがわ けんじ)
准教授 小熊 圭祐(おぐま けいすけ)
6年生 6名
5年生 7名
4年生 11名