日本大学生物資源科学部

NUBS★GO!GO!

FACULTY
2013.11.1

FACE OF FACULTY

本学部の教員には、それぞれの専門分野に対する深い造詣やユニークな研究テーマを持ち、かつその分野にとらわれない幅広い活動を展開しています。ここではそうした教員の研究や活動などのエピソードについて紹介。彼らの素顔も垣間見られるかもしれません。そして私たちの身近なところにも教員たちの成果が息づいているかも。

“ウナギ”のロマンとミステリーを追う KATSUMI TSUKAMOTO

profile

日本大学生物資源科学部海洋生物資源科学科教授。1948年岡山県生まれ。1973年東京大学大学院農学系研究科水産学専門課程修士課程修了。1980年農学博士(東京大学)。東京大学大気海洋研究所海洋生命科学部門教授、東京大学海洋研究所先端海洋システム研究センターセンター長(兼務)等を経て2013年4月より現職。2013年7月「海洋立国推進功労者表彰」を受ける。趣味はサッカー、テニス。サッカーは当時、小学生だった2人の娘に“遊んでもらう”ために20年ほど前に始めたのがきっかけ。茅ヶ崎在住でサザンオールスターズの大ファン。

海洋生物資源科学科 教授
塚本 勝巳

 本学部海洋生物資源科学科の入る10号館に、異彩を放つ名称の研究室があります。ウナギ学研究室。そう、土用の丑の日に蒲焼きを食べる、あのウナギです。2013年に着任した塚本勝巳教授が主宰する、世界でも類を見ない研究室なのです。

「前任の東京大学では魚類の行動生態学を専門としており、その一環としてウナギを扱っていました。この研究室では、自然科学だけでなく文化学、社会科学などの総合科学としてウナギの研究をしています」

 塚本教授は2009年、世界で初めてウナギの産卵場所をつきとめ、受精卵を採取するという快挙を成し遂げました。ウナギは謎の多い魚で、それまでどこで卵を産むかということさえわかっていなかったのです。
 ウナギは淡水魚と思われがちですが、実は外洋で卵からふ化し、成長しながら川を上る回遊魚です。塚本教授らの研究グループは、ニホンウナギについて独自の仮説を立て、幾度もの調査航海を経たのち、北太平洋・西マリアナ海嶺南端部の海山域に産卵場所を特定しました。

「次の目標はウナギの産卵シーンを撮影することです。しかし、ウナギがいつ卵を産むのか、現時点では正確に特定することが難しい。産卵地点も、広範囲にずれます。さらに研究を進める必要があります」
謎の多いウナギに魅せられて

 塚本教授は、もとは魚の回遊現象を研究していました。回遊の「サケ型」「ウナギ型」「アユ型」それぞれを調べていったところ、サケとアユについてはすぐに解明できてしまいました。またこの二つのに関しては他にも研究者が多く、すでに多くの知見が蓄積されていました。一方ウナギは研究者も少なく、研究成果も少ない。そこで塚本教授はウナギにターゲットを絞ることに。
 すっかりウナギに魅せられた塚本教授は、いつしか「世界のウナギ博士」と呼ばれるようになりました。

「ウナギは形からしてミステリアスですよね。およそ魚らしくない。表面はぬるぬるしてウロコがないように見えますが、実は皮膚の下に隠れているんですよ」

 日本では江戸時代から、ウナギをめぐる豊かな文化が花開きました。食文化はもちろん、「うなぎ上り」「鰻の寝床」などの表現、落語や浮世絵に登場するなど、庶民に身近な存在として親しまれてきました。

「ウナギの文化は世界各地にあります。たとえばポリネシアの『ヒーナとツーナ』伝説。ウナギ神が島の娘と恋に落ち、最後には犠牲となって島を救う。そしてその首がヤシの実の起源になったという話です。こうした興味深い伝説をもっと集め、紹介していきたいと思っています」
「ハレ」の日にウナギを

 現代ではウナギは乱獲が指摘されており、ついには絶滅危惧種に指定されてしまいました。一方で、牛丼店などで安価なウナギが提供されていたりもします。塚本教授は、こうした現状に警鐘を鳴らしています。

「最近は『ハレの日ウナギ』を提唱しています。ウナギは『ハレ』の日の特別なごちそうとして、家族で食べてほしい。大量消費を避け、天然ウナギや、養殖に使うシラスウナギを守ろうという趣旨です」

 塚本教授は、ウナギとウナギの文化を守るために、こうした社会運動にも積極的に関わっていくそうです。ウナギを見つめるその視線は、広く地球環境の未来にも向けられているようです。

  • 塚本教授らが採取したウナギの卵。この発見は、卵をふ化させるところから始める「完全養殖」への第一歩ともなるものだ。

    塚本教授らが採取したウナギの卵。
    この発見は、卵をふ化させるところから始める
    「完全養殖」への第一歩ともなるものだ。

  • 『旅するウナギ』(共著・東海大学出版会)、『ウナギ大回遊の謎』(PHP研究所)、『世界で一番詳しいウナギの話』(飛鳥新社)等著書多数。

    『旅するウナギ』(共著・東海大学出版会)、
    『ウナギ大回遊の謎』(PHP研究所)、
    『世界で一番詳しいウナギの話』(飛鳥新社)等
    著書多数。

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