食ビの人々

片上 敏喜 専任講師 Toshiki Katagami 担当科目:調査論、グリーン・ツーリズム論、NGO・NPO論

ツーリズムで食文化を探究する。

現在の研究内容について、わかりやすく教えてください。

地域の食文化を対象としたツーリズム(観光)を作り上げていくために必要な手法と、そのようなツーリズムを行うことによる波及効果について、アクションリサーチを用いて研究を行っています。
近年、日本では和食が国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことなどを機に、「食文化」を対象とした観光が注目されています。「食文化」は、地域固有の風土に根ざした食材、道具、調理法、食べ方などから構成され、地域ならではの魅力として観光の対象となっています。
しかしながら、「観光」を通して「食文化」が人々の生活にどのように溶け込み、存続・変遷するのか、という相互作用を明らかにした研究は多くありません。そこで、私自身で地域の食文化を対象とした観光ツアー等を行うNPOを起ち上げ、実際に「アクション(行動)」して「リサーチ(調査)」する方法を用いて、①地域の食文化を対象とした観光活動を行うために必要な条件や具体的な方法と、②地域の食文化を対象とした観光活動に参加した人々の地域の食に対する意識や行動の変化や人びとの生活にもたらす波及効果について、多様な分野の研究者と共同しながら研究を行っています。

現在の研究領域に興味を持ったきっかけは何ですか。

日本各地にはその地域ならではの多様で豊かな食文化があると気づき、そうした食文化に触れ、食している中で、「どのような成り立ちや経緯を経て、こうした食がつくられているのだろう?」という思いが芽生えてきました。そこで日本各地に足を運び、現地で地域ならではの食文化に触れる機会を重ねていくうちに、私自身のこのような行動は観光的な楽しさを伴う活動でもあるということを感じました。こうした楽しさが伴う観光という活動を通じて、地域の食文化がもつ様々な魅力を発信していくことで、より深く地域の食文化を知ることができるのではないかということを、思ったことがきっかけになります。

研究の成果をどのように社会に活かしていきたいですか。

まず何よりも研究で得た成果を大学教育の中で、これから社会へと飛び立つ学生の力になるように活かしていきたいと考えています。一方で私自身、地域住民の方々とともにNPOを起ち上げ、観光活動を通じて地域の食文化を発信していく機会を頂いています。研究で得た成果については、このような現場での活動を通じて、社会に還元していきたいと考えています。

研究のやりがいや面白さを感じるのはどんな時ですか。

地域ならではの食文化が生まれ、育まれた背景や経緯、またそうした食文化を積み重ねてきた先人の多様で豊かな知恵に触れた時に、研究の面白さを感じます。また私自身がそうして「面白い!」と感じたことについて、調査・研究を行った成果をもとに、現場の方々や同分野・異分野の研究者の方々とディスカッションを行うことを通じて、さらなる新しい知見が生まれて広がりを感じる瞬間や、一人では決して達成できないような研究を様々な方々と、ともに成し遂げた時に、とてもやりがいを感じます。

反対に、研究で苦労する点、努力する点はどのようなことですか。

私自身が研究を通じて「面白い!」と感じたことを伝える時です。
自身の行っている研究について、面白いと感じてもらったり、他の分野にも応用できると考えてもらったり、現場でも活用できると思って頂くためには、相手に思いを馳せて伝える力が必要になります。しかしながらそのためには、日々の研究に対する所作を律し、常に研鑽していかなくてはなりません。そうしたことを弛まず行っていくことは苦労や努力する点ですが、一方で、研究のやりがいや面白さにもつながる点でもあります。

これから同じ専門領域を研究する学生に何を期待しますか。

食と観光の分野においては近年、「B級グルメ」や「肉フェス」などのフードイベントが盛んに開催され、日本各地の観光地でもいわゆる「ご当地グルメ」の関心が年々高まっています。こうした食べる楽しみをダイレクトに味わう観光も良いのですが、私の専門領域であるフードツーリズムという観点から見た時、食の生産や加工・流通の現場を知ることや、そうした食がどのような歴史を経て地域に根付いたかといったことを、観光を通じて知ってもらうことが大切になってきます。そこでは、旅の「非日常性」を「日常」に取り入れていける観光のあり方が重要になります。
旅先で得た知識を日々の生活に取り入れ、その地域ならではの食品を恒常的に購入してもらえるようになれば、地域の産業や食文化を支えていく一つのきっかけになります。また地域への愛着も食を通じて育まれると考えます。
観光のもつ力である「楽しむ」ということから「学び」へつなげていくことで、食をより理解し、生活の幅を広げていくといった観点から、研究に取り組んでいく志を期待します。

食品ビジネス学科を目指す学生へメッセージをお願いします。

食品ビジネス学科には専門性と学際性の豊かな研究者と多彩な研究室があります。こうした食品ビジネス学科の研究室の前に立って、学びの扉を開いて下さい。そして、自分自身が中心となって問題を課題(解決しなければならないこと、果たすべきこと)として捉えて、その課題に関するデータを収集・分析して、解決策を導き出していきたいと思うことを見つけて下さい。ともに探究していきましょう。

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