宮部 和幸 教授 Kazuyuki Miyabe 担当科目:アグリビジネス論、農村資源の保全と活用、ロジスティクス論
現場は先生、
まずは現場に行くことから。
現在の研究内容について、わかりやすく教えてください。
地域重視、現場を対象として、大きく2つの研究テーマに取り組んでおります。一つは、野菜や果物、そして花などの生鮮農産物の生産・流通です。生鮮農産物は一般に貯蔵がきかないものが多く、天候や病害虫の発生などの自然条件によって計画通りに供給量や品質を調節することが難しいものです。たとえどのようなものが売れるかが分かっていたとしても、自然条件によって予期しないものが出来てしまう。そのため生鮮農産物の生産・流通には、売れるもの作るという基本的な視点に加え、作ったものをいかに有利に売るかという視点も大切となります。
二つは、農村における地域資源の探索・活用です。農村地域には私たちの目では見えない沢山の資源(宝物)があります。豊かな自然、伝統野菜、郷土料理などの宝物を、農村散策や聞き取り調査などを通して見つけ出し(探索)、その宝物に磨きをかけながら、どのように活用すべきかについて、現地関係者との交流を通して実践的な取り組みを進めています。
現在の研究領域に興味を持ったきっかけは何ですか。
子どものとき、家の畑(庭)では四季折々、野菜や花を育てておりましたし、家の前には新鮮な野菜や果物がならぶ八百屋さんがありました。生鮮野菜などは常に身近にあり、生鮮農産物を生産する地域に住んでいたことが大きいと思います。
研究の成果をどのように社会に活かしていきたいですか。
「絵に描いた餅ではなく、現場の方々が美味しくほおばる餅を描きたい」。京都のシンクタンクで、全国の地方自治体や農協の地域農業振興のプランニングや各種計画づくりに長くかかわってきました。そのため、少しでも現場の方々が、活用出来るようなもの、現場に役立つ有効な具体策の提案を重視しております。
研究のやりがいや面白さを感じるのはどんな時ですか。
私たちの調査結果を踏まえて改善・提案したことが、現場で実践されることです。現場に入りこみ、既存のデータや資料を基本として現状分析を行い、そして問題点と改善方向のプレゼンを行う。私たちのプレゼンを受けて現場が動き始める時、役立つ有効な提案できたのではと喜びを感じます。
反対に、研究で苦労する点、努力する点はどのようなことですか。
現場の関係者が納得するような提案を導き出すには、何度も現地を訪れ、豊富な資料・データを分析するなど、調査研究のための多くの時間を要します。また、私たちの提案は、現場関係者との信頼関係がなければ受け入れられません。そのため現場との長期継続的な関係を維持していくこともとても大切です。
これから同じ専門領域を研究する学生に何を期待しますか。
グリーンハウス(施設)で、長靴ではなく、スリッパを履いてキュウリを栽培するように、いま野菜や花の生産システムは大きく変わりつつあります。またICTの導入など、生鮮農産物の流通システムも変貌しつつあります。こうした変化は、実際に現場に行かなければわかりません。これからの変化の基調を見極めながら、現場に軸足を置いて、新しい研究テーマを発見してほしいと思います。
食品ビジネス学科を目指す学生へメッセージをお願いします。
現場には、入らないと分からないことばかりです。立ち止まって、いろいろと考えているだけでなく、まずは現場に行くこと、取り組むことこそが大切です。
食品ビジネス学科は、農場から食卓まで「食料資源・環境」、「食品産業」、「食文化・食品科学」の3分野をめぐる数多くの研究室があります。皆さんは、自らが学びたい、研究室を見つけ出し、まずは研究室のドアをノックしてください。
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