食ビの人々

久保田 裕美 准教授 Yumi Kubota 担当科目:食生活論、日本と世界の食文化、フードサービス論

食と世の中はつながっている。
その豊かさ本当ですか?

現在の研究内容について、わかりやすく教えてください。

大きく2つのテーマがあります。ひとつめは、日本の食生活がこれまでどのように変わってきたのか、またなぜ変わってきたのか、文化的・経済的な要因を踏まえて、私たちにとって豊かな食生活とは何かを考えることです。現代の食生活は便利になりましたが、食の外部化により作り手と食べる人の距離が拡大しています。食生活に「安さ」や「便利さ」を求めることは止められない時代の潮流ですが、失っている何かがあります。フードシステムが拡大した社会において、作る人と食べる人が経済社会において持続可能であるためには、どのような仕組みが必要なのか。地域社会と食コミュニティのあり方について研究を進めています。
ふたつめは、社会を形成する当事者の一人という視点から、私たちはどのような食生活を送ったらよいか、つまり、社会が豊かになるために、自分自身はどのように「食」を選択したらよいかということを考えることです。食を選択する力については、食育や食リテラシーとして、近年、関心が高まっています。高校生のみなさんは、これまで、バランスのとれた食事や、農業体験など食生活について、さまざまな勉強や体験をしてきたと思います。一方で、「国産を食べましょう」と言われて、「なぜ国産を食べることがよいのか?」と思ったことはありませんか。なんとなく国産を食べたほうが良い気がするけれども、そのことがどのように自分にメリットがあるのかが具体的には分からないのではないでしょうか。社会を形成する当事者の一人という視点から、私たちはなにを食べたらよいか、つまり、社会が豊かになるために、私たちはどのような「食」を選択する力が必要なのか。その力を育むための食リテラシーのあり方を研究しています。

現在の研究領域に興味を持ったきっかけは何ですか。

大学3年生の時、大学を1年間休学してアメリカの食品企業でインターンシップを経験しました。その職場には、メキシコ人など多国籍の人が働いていて、休憩時間等には「日本の食生活や農業はどうなっているのか?」とよく尋ねられました。当時の私は、それらの質問にしっかりと答えることができずにいました。日本に帰国した後、アメリカで感じた「日本の食生活や農業のことについてもっと深く知りたい」という欲求が一層強くなり、大学院で農業経済学を学びました。また、アメリカで実際に生活してみて、現地のファストフード文化に触れたことも現在の研究に繋がっています。

研究の成果をどのように社会に活かしていきたいですか。

いまの私たちはとても忙しい毎日を送っています。そんな時代だからこそ、食リテラシー(食教育)を通じて、子どもから大人まで、誰もが楽しく笑顔で食卓を囲めるような、食卓で心の豊かさを実感できる社会の実現につなげていけけたらと思っています。

研究のやりがいや面白さを感じるのはどんな時ですか。

一番のやりがいは、未来の「食」を創る仕事に携わることができているということです。「食」は、身体への栄養だけでなく、心の栄養としてもとても大切なものです。これからの「食」のあり方は、時代と共に変化していきます。学生との議論やコミュニケーションを通じて、また、食料や食生活に関する実証研究を通じて、社会学的視点から、「豊かな食」とは何か、それを実現するためにはどのような社会的環境や条件が必要であるのかを追求していきたいと思っています。

反対に、研究で苦労する点、努力する点はどのようなことですか。

現地調査の際に、相手に調査の趣旨を伝え、協力をいただくところが苦労する点です。忙しい中で、いかに時間を取って話をしてもらえるかということについて、毎回、伝え方や依頼の方法について工夫しています。

これから同じ専門領域を研究する学生に何を期待しますか。

まず自分の好奇心のアンテナを大きく伸ばすことが非常に大事だと思います。「なんでだろう?」「どうなっているのだろう?」と思ったら、後は「知りたい」という欲求を行動に移すことが大切です。きっかけ(チャンス)に気づく感性(アンテナ)を持ち、小さなことでも行動してみることで、未来に続く新たな道が開けるかもしれません。

食品ビジネス学科を目指す学生へメッセージをお願いします。

わたしたち一人一人の行動が、じつは様々なところと繋がっていて、それらが集まって、大きな社会を作っています。みなさんの食行動は、未来の社会と繋がっているということなのです。「話が大きすぎて、イメージできないよ」と思うかもしれませんが、こうした食と社会の繋がりを探っていくのが、食品ビジネス学の面白さであり難しさでもあります。
自分の生活が豊かになるためには、社会も同じように豊かになっていくための選択が必要です。「食生活の選択」には、「便利さ」と「豊かさ」のバランスが必要です。では、食を豊かにするにはどうしたらよいのでしょうか?食品ビジネス学科で、その答えを一緒に考えてみませんか?

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